新しい料理体験を音で提供する『音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE』
味の素株式会社が新たに発表した「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」は、視覚障がい者に配慮した料理サイトです。このプロジェクトは、視覚情報に依存せず、音や触覚を駆使して料理を楽しむ方法を提供することを目的としています。2月19日から始まったこの取り組みは、全盲の視覚障がい者と共同で開発されており、彼らにとっても晴眼者にとっても利用しやすい設計がなされています。
視覚情報に依存しない新しいレシピの形
従来のレシピサイトは、視覚に依存した表現(「きつね色」や「肉の色が変わるまで」など)が多く含まれ、視覚障がい者には理解しきれない部分がありました。そこで味の素は、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティと共同で、そうした課題を解決するプロジェクトを立ち上げました。
具体的には、100点を目標にレシピが音声でわかりやすく表現され、スマートフォンの音声読み上げ機能に最適化されたUI/UXも導入されています。この新しいレシピサイトでは、音を利用して料理を楽しむ方法を紹介し、音によって変わる食材の状態や調理のコツなどを教えてくれます。
UI/UX設計で音声読み上げを最適化
このプロジェクトの魅力の一つは、音声読み上げに最適化された設計です。視覚障がい者が使うスマートフォンやPCの音声機能が効果的に活用できるよう、読み上げを妨げる情報は最小限にし、必要な情報に迅速にアクセスできるよう整理されています。また、特定の文字が読み間違えられないように工夫もされています。
区別が難しい表現を音で理解できるようにする配慮は、料理の楽しさを大いに広げるものです。
視覚障がい者の視点が反映されたレシピ
レシピの表現も大幅に改善されています。視覚情報に依存していた表現は、音声で理解できる形に変換されており、例えば「きつね色になったら」というフレーズは置き換えられることで、誰でもわかりやすい内容に。音をしっかりと聴きながら料理することで、風味や食感をより楽しむことができる工夫がされています。また、盛り付け方法についても視覚的情報がなくても理解できるよう詳しく説明されています。
みきさんのサウンドコラム
興味深いのは、このプラットフォーム上で特別に紹介されている「料理大好きな全盲のみきさん」の音声コラムです。彼女が料理する際に感じ取る音や食材の香りについて、独自の視点で話しをしており、聴く事で新たな気づきを得れることができます。音の中に秘められた料理の楽しさは、視覚に頼らずとも十分拡がっています。
料理の楽しさを広げる味の素の挑戦
「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」は、まだスタートしたばかりですが、今後も内容の改善や拡充を進めていく予定です。全盲者と晴眼者の両方が料理を楽しむための新しい手助けとして、多くの人にその魅力を伝えていくことでしょう。
このプロジェクトに共感した志村季世恵さんが語るように、料理は視覚を失ったからこそ見えてくる新たな世界を体験できるもの。是非、このレシピサイトを通じて、音による料理の楽しさを実感してみてください。音とともに提供される彼女たちの声が、私たちの料理体験を豊かにしてくれるのです。