厚岸蒸溜所が挑戦する富良野ウイスキーの未来
北海道・厚岸町に位置する厚岸蒸溜所は、かつて有数の牡蠣の産地として知られている地域で、ウイスキーの生産に取り組んでいます。2016年の設立以来、スコッチウイスキーの伝統を受け継ぎ、地域特有の素材を生かしたウイスキー造りを行っており、今やその評判は広がりを見せています。特に注目を集めるのが、2025年度中の製品化を目指して試験熟成を行っている富良野地区でのウイスキー原酒です。
富良野での試験熟成とその成果
厚岸蒸溜所は、2018年に富良野地区でのウイスキーの試験熟成を開始しました。このプロジェクトは、地域の大麦を原料として使用し、さらには様々な種類の樽で熟成を行うことで、多様な風味を引き出すことを目指しています。2021年8月から行われた試験熟成の結果、現在では86樽、約24,600リットルのウイスキーが熟成中であり、700mlボトル換算すると約35,000本に相当します。
現地熟成庫の特徴と使用樽
富良野での熟成庫には、バーボン樽やシェリー樽に加えて、北海道産のミズナラ樽やワイン樽も使用されています。これらの樽の組み合わせによる独自の風味の創出が期待されており、厚岸蒸溜所の職人たちは、ウイスキーの風味開発に真剣に取り組んでいます。
蒸溜所建設計画の新たな展開
厚岸蒸溜所は、熟成庫での作業を通じて得たノウハウを活かし、富良野地区での新しい蒸溜所の建設計画も推進中です。かつて候補地として検討していた場所は諸般の事情により断念しましたが、今では新たに有望な土地が見つかり、2027年度の操業開始を目指しています。この新しい蒸溜所では、さらに高品質なウイスキーを生み出すために、理想的な環境を整える計画が進められています。
商標登録と愛好者へのメッセージ
新たに設立される「富良野蒸溜所」には商標登録も行い、2025年度に発売予定のウイスキーにはこの商標を使用します。製品には「for discussion」との注釈も加え、ウイスキー愛好者との意見交換を重視しています。厚岸と富良野の熟成環境の違いを体感してもらい、これからのウイスキーへの期待感を高めていきたいと考えています。
地域へのこだわりと未来への展望
厚岸蒸溜所の設立に際して、代表取締役の樋田恵一は、アイラモルトの魅力に取りつかれたことが原点と語っています。地域独自の水質や気候、食材といった要素を大切にし、スコッチの伝統を守りながら新たなウイスキーを創り出す挑戦は、まさに北海道の地からの挑戦状です。
今後も厚岸蒸溜所では、ウイスキーに対する情熱を持ちながら、地域の味わいを伝えるべく進化し続ける姿勢を貫いていくことでしょう。これからの展開にご注目ください。