株式会社ぺーパルが誇る新素材「薄炭クラフト」
奈良県奈良市に本社を置く株式会社ぺーパルは、2025年10月に新素材「薄炭クラフト」を開発し、11月から販売を開始します。このプロジェクトの原点は、奈良時代に存在した再生紙文化にあります。特に、正倉院に保管されている1158年の「宿紙」に着想を得たことが大きなきっかけでした。古文書や巻物に使われた再生紙の存在を知り、1300年以上前にすでに日本人が資源を有効活用する文化を持っていたことに感銘を受けました。
1300年の歴史に基づく再生利用の文化
宿紙とは、使用済みの紙を再再生して新たなものとして生まれ変わらせる技術のことです。この文化は古代から続いており、平安時代には天皇の命令を記した文書にも使われていました。戦国時代や江戸時代を経て明治まで、再生紙の利用は多様に受け継がれてきたのです。
未利用資源から生まれる新しい価値
薄炭クラフトは、未利用の資源から生み出された「バイオ炭」を利用して製造されています。このバイオ炭は、もみ殻や野菜などの廃棄物を炭化することで得られ、CO₂の排出を抑制する環境に優しい素材です。バイオ炭を古紙と混ぜ合わせ、柔らかなグレーの色合いや自然な風合いを持つ紙が完成しました。この新素材は見た目だけでなく、消臭効果も兼ね備えています。
サステナブルな循環型文化の実現
薄炭クラフトの開発の目的は、サステナブルな素材を提供するだけでなく、バイオ炭の普及を通じて現代の循環型文化を導入することにも力を入れています。使用済みの農産物や製品の残さは、バイオ炭として利用され、農業や地域循環においても重要な役割を果たします。
様々な用途とコラボレーションの提案
薄炭クラフトは、化粧品や菓子、文具など様々な商品のパッケージや名刺、カードに使用することが可能です。企業は自社の廃棄物をバイオ炭に変換し、オリジナル用紙としてアップサイクルストーリーを作ることもできます。さらに、製品には認証ラベルが付属され、企業のサステナブルな取り組みを消費者にわかりやすく示すことができます。
未来を見据えた新たな紙文化の提案
株式会社ぺーパルは、1890年から135年間にわたり、日本の紙文化を支えてきました。また、SDGsへの取り組みを推進するため、アップサイクル素材の研究開発にも注力しています。本プロジェクトを通じて、ペーパルは持続可能な社会の構築を目指し、バイオ炭の普及に関与していく意向を表明しています。
「薄炭クラフト」は、環境に配慮した新しい選択肢として、私たちの生活やビジネスに新たな風を吹き込むことでしょう。興味のある方は公式サイトをチェックして、詳細を確認してみてください。深い歴史と革新的な技術が融合した薄炭クラフトが、私たちの未来を豊かにしてくれるに違いありません。