医療機器償還制度の新たな提言が示す未来の医療環境
公益財団法人医療機器センターが2025年3月に発表した新時代の医療機器償還制度に関する提言は、国民や患者がより迅速に先端医療を受けられる環境整備を目的としています。2022年5月に設立された新時代検討会では、慶應義塾大学名誉教授の印南一路氏を座長に、9名の有識者が集まり、制度改善の必要性とその方向性について深い議論が行われました。この活動の結果、本日、提言が公表されました。
検討の背景
医療機器のイノベーションを促進することは、国民が新たな医療の恩恵を速やかに受けるために不可欠です。しかし、現行の償還制度は、1993年の中医協の建議を元に設計されて以来、長年同じ枠組みのままでした。このため、長期的なデフレからインフレへの移行や円安による物価上昇、さらに人口減少の影響で医療従事者の確保が困難になるなど、多くの環境変化に直面しています。
これらの要因から、従来の制度体系では、イノベーションの促進と安定した医療機器の供給の両立が難しくなっています。このため、本検討会では、医療機器の適切な提供を実現するために新たな償還制度の創設と改善の必要性が強く認識されました。
提言の主な内容
検討の結果として、報告書では以下の5つの主な提言がなされました。
1.
医療機器の臨床的価値を考慮した価格制度の必要性:特に逆ザヤ対策を含むべきです。
2.
物価を考慮した価格設定の改善:より市場環境にマッチした形に見直されるべきとされています。
3.
新規医療技術に対する診療報酬の評価:大病院の医師の負担軽減が求められており、AI技術など新技術の活用が提案されています。
4.
医療イノベーションを確保するための新しい評価基準の設立:今後の制度設計において新たな評価軸が求められています。
5.
医療機器販売業者のコストを適切に診療報酬に反映させるべきである:安全使用を担保するためにも、この点は重要になります。
未来への期待
新時代検討会は、これらの提言を実現することで、医療機器の安定供給を推進し、国民や患者が新たな医療技術のメリットを直ちに享受できる環境の構築が進むことを期待しています。本報告書は、これからの関連機関による議論の基礎となり、制度的な具現化へとつながることを目指しているのです。
法人概要
公益財団法人医療機器センターは、1985年に設立され、現在は東京都文京区に本部を持ちます。その目的は、医療機器の研究開発を支援し、医療機器産業の健全な発展に寄与することです。また、臨床工学技士の育成にも力を入れており、国民の健康増進に寄与することを目的としています。詳細については、
公式ウェブサイトをご覧ください。
【連絡先】
公益財団法人医療機器センター附属医療機器産業研究所
TEL: 03-3813-8553