水の安全を守る新技術 ― PFAS分析の効率化に成功した学会発表

水の安全を守る新技術

水の安全性は私たちの生活において欠かせない要素ですが、近年、特に問題視されているのがPFAS（パーフルオロアルキル化合物）という有機フッ素化合物です。これに伴い、PFASの分析効率化が進む中、昭光サイエンス株式会社の窒素吹付濃縮停止装置「EVAN-HEX（エバン-ヘックス）」を用いた研究成果が発表されました。この研究は、栗田工業株式会社とランドソリューション株式会社によって行われ、注目を集めています。

PFAS分析が注目される理由

PFASは人体に有害な影響があるとされ、その汚染が急速に拡大しています。2025年には、日本の環境省が水質基準を新設し、特にPFOSやPFOAに関する指針値を設ける動きが進んでいます。このような背景から、PFASに対する関心が高まり、効率的な分析方法の確立が求められています。

研究成果の発表

2025年6月25日から26日に開催された第30回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会で、栗田工業とランドソリューションはPFAS分析の前処理操作の効率化について発表を行いました。

従来のPFAS分析では、熟練した技術を要し、多くの時間を必要とする前処理が課題でしたが、「EVAN-HEX」の導入によって、その課題を解決することが可能になりました。具体的には、従来の手作業による濃縮工程を自動化することで、作業者の負担を軽減し、液量の高精度な制御を実現しました。

この装置は、窒素吹付と液面センサーを組み合わせた新しい技術を採用しており、到達した液量に応じて自動で動作を停止します。このため、作業の均質化や再現性の向上をもたらし、PFAS分析における人的負担を軽減しています。

企業のコメント

栗田工業の研究開発担当者である榎本幹司氏は、今回の研究がPFAS分析の効率化に大いに貢献するものと考えており、特に手作業による前処理から自動化による効率化が実現できたことは、今後の研究の質的向上につながると期待しています。

製品の詳細

「EVAN-HEX」は、株式会社テクノシグマ及び株式会社創造化学研究所によって開発された装置で、環境分析の現場での使用を前提に高精度な作業を実現します。特にPFAS分析やダイオキシン類の前処理工程で高い効果を発揮することで、持続可能な社会の実現に寄与します。

今後の展望

昭光サイエンス株式会社は、今後も水質分析やPFAS分析のための機器供給だけでなく、お客様のニーズに応じた信頼性の高いサポート体制の構築に注力していく方針です。また、2025年9月には幕張メッセで開催される「JASIS 2025」に出展予定で、実機を通じてより多くのお客様にその効果を実感していただける機会を設けるとのことです。