寝返りと身体機能を解明するマットレス研究の発表
株式会社イノアックコーポレーションと立命館大学が共同で行った、マットレスに関する研究の成果が、日本人間工学会第67回大会で発表されました。この研究はイノアックが展開する寝具ブランド「カラーフォーム」の「FACET(ファセット)」マットレスを対象に行われ、六角スリット加工の有無が寝返りのしやすさや睡眠中の身体動作、さらに起床後の身体機能にどのように影響するのかを分析しました。
研究の背景
マットレスの選び方は多くの場合、寝心地の感覚に依存していますが、具体的にどのような点が身体に影響を与えるのかはあまり知られていませんでした。特に、「寝返りのしやすさ」や「睡眠中の動き」が身体機能に及ぼす影響について、科学的な評価が求められていました。本研究は、こうした課題に答える形で、マットレスの構造が身体に与える影響を定量的に評価することを目的として立ち上げられました。
実施された研究内容
1. 寝返りのしやすさの検証
研究では、高反発マットレスと低反発マットレスの性能を比較しました。特に、六角スリット加工の有無が寝返りのしやすさに与える影響を重点的に調査。被験者には、ヒステリシスロスが異なるマットレスを用意し、寝返りを繰り返してもらいました。その結果、ヒステリシスロスが小さい高反発材料の方が、身体への負担が少なく、寝返りがしやすいことが確認されました。
2. 身体動作の可視化
次に、睡眠中の身体の動きを分析するため、光学フロー解析を導入しました。この技術により、被験者にセンサーを装着せずに睡眠中の動作を捉えることができるため、より自然な状態でのデータ収集が実現しました。結果、六角スリット加工が施されたマットレスでは、眠っている間の身体動作が減少することが判明しました。これは、マットレスが体をより適切に支えることで、無駄な動きを減少させたことが示唆されます。
3. 起床後の身体機能の影響
最後に、マットレスの違いが起床後の身体機能に与える影響を評価するため、重心動揺検査と精神運動覚醒検査(PVT)を実施しました。これらの検査により、起床後のバランス能力と注意力にどのように影響があったのかを明らかにしました。結果として、六角スリット加工がされたマットレスで睡眠した被験者は、起床後の身体の揺れが少ない傾向にあり、バランスが安定していたことが分かりました。
研究の意義
本研究によって、「寝心地」の評価を超えた具体的な数値をもとに、マットレスの選択基準が変わる可能性が生まれました。客観的データに基づくマットレスの評価は、今後の寝具開発や選び方に新たな基準を提示するものです。イノアックは、今後も立命館大学とのコラボレーションを続け、睡眠と身体機能に関する研究を深化させることで、より良い商品の開発に努めていく予定です。
今回の研究内容や発表は、2026年5月23日から5月24日にかけて名古屋市立大学で開催される日本人間工学会において、具体的な演題としても取り上げられます。今後のマットレスの技術革新と、科学に基づく快適な睡眠環境の実現に期待が寄せられています。