首都圏の中古一戸建てに注目が集まる理由
株式会社LIFULLの運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」が実施した調査によると、首都圏の中古一戸建てへの問い合わせが急増していることがわかりました。特に、この調査において注目されるのは、築40年未満かつ敷地面積50㎡以上を対象とした中古一戸建てで、2024年の問い合わせ数は2019年と比較して実に135.9%も増加したということです。
中古一戸建ての価格動向
中古一戸建ての魅力の一つは、その価格のリーズナブルさです。2025年における中古一戸建ての㎡単価は平均39.8万円であるのに対し、中古マンションは51.9万円とされています。この差は12.1万円にも達し、中古一戸建ての割安感が強調されます。
また、東京都の中古一戸建ての平均価格は8229万円ですが、周辺の神奈川県では3841万円、千葉県では3739万円、埼玉県では2507万円にとどまっています。これに対し、東京都民の平均年収は502万円と推定されており、周辺3県で中古一戸建てを購入する場合の年収倍率は、神奈川県や千葉県で7倍強、埼玉県で5倍という結果になっています。
増加する問い合わせ数と人気の市区町村
2025年1月から8月にかけてのLIFULL HOME'Sにおける問い合わせ数を市区町村別に調査したところ、最多の問い合わせがあったのは「八王子市」で、続いて「川口市」「横須賀市」となりました。これらの結果からは、郊外の市区町村に対する関心が高まっていることが明らかになりました。
中古一戸建て市場の背景
LIFULL HOME'Sの総研中山副所長は、東京圏における新築や中古マンションの価格高騰が背景にあると指摘しています。資材価格の上昇や人件費の高騰、地価の安定した上昇に伴い、新築物件の価格は今後も上昇が見込まれる中、現在比較的リーズナブルな価格で手に入る中古一戸建てには需要があるのも納得です。特に、近郊や郊外に多くの物件が存在し、流通価格が上がりづらいため経済的な負担が少ないことも魅力の一つです。
さらに、「安心R住宅」といった品質を保証する制度や、買取再販物件の増加により、中古一戸建てに対する不安感が軽減されています。これが、購入心理のハードルを下げている要因にもなっています。
新たな住まいの選択肢として
今回の調査結果を踏まえ、首都圏では新築・中古マンションの価格が高騰している一方で、中古一戸建てが「最後の砦」として注目されている状況が浮き彫りになりました。実際、東京都内の高額な物件に対し、周辺県は2,000~3,000万円程度と安価であり、リフォームや断熱改修を行っても経済的に手の届く範囲にあることが多いのです。
このように、中古一戸建ては東京都内からの住宅購入の選択肢としてますます注目を集めています。これは、東京都民が周辺エリアに引っ越す傾向にも影響を与えることでしょう。
さいごに
少子高齢化やライフスタイルの多様化が進む中で、今後の住宅選びはますます重要なテーマになってくるでしょう。LIFULL HOME'Sは「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに、利用者一人一人のニーズに寄り添った情報提供を行っており、新たな住まいの可能性を広げるお手伝いをしています。ぜひ、今後の住宅探しに役立ててください。