Vectra AIがNetographyを買収し進化するクラウドセキュリティの未来
サイバーセキュリティ分野でAIを活用し、最新技術で防御体制を強化するVectra AIが、クラウドネットワークの可視化で知られるNetographyを買収しました。この統合によって、Vectra AIの提供するプラットフォームは、ハイブリッド及びマルチクラウド環境における脅威検知の精度を一層高めると期待されています。
買収の背景と目的
近年、企業はクラウドファーストの戦略を推進し、分散型ワークフォースやIoT/OTの導入を進めています。これにより、従来のネットワーク境界が変化し、データやアプリケーションが様々な環境でシームレスに移動する「ハイブリッドデザイン」が主流となっています。しかし、攻撃者はこの複雑性を突いて速攻で侵入し、従来の防御手段では対応しきれない状況が増えています。Netographyの技術統合により、Vectra AIはクラウドネットワークでの攻撃シグナル分析と可視化を強化し、企業が直面する新たな脅威に対抗する力を強化することが狙いです。
Vectra Fusionの機能
買収の一環として、Netographyの持つNetography FusionがVectra AIの製品に名称を変え、Vectra Fusionとして新たに登場します。この新しいプラットフォームはエージェントレスのアプローチで、AWS、Azure、GCP、そしてオフプレミス環境にわたる可視化を実現。これにより、企業全体のセキュリティカバレッジが拡大し、プロアクティブかつ予防的な防御が可能となります。
Vectra Fusionでは、VPCフローログの効果的なオーケストレーションが実現され、新規アカウントやワークロードのオンボーディングも自動化。つまり、ハイブリッドエンタープライズ全体において、セキュリティの精度が向上し、迅速な応答が可能になるのです。Vectra AIはこれにより、企業にとって最適なSOCプラットフォームを提供することを目指しています。
影響力ある声
Vectra AIのCEO、Hitesh Shethは「ハイブリッド環境は今後も続く。その防御への関心はAIに依存する」と語り、Netographyの買収がもたらす可能性について言及。
また、NetographyのCEO、Martin Roeschも「可視化はクラウドネイティブであるべき」と強調し、両社の技術統合が防御力を一段と高めることを確信しています。この技術統合によって、すべてのセキュリティチームが迅速かつ高精度で作業を進められるようになると述べています。
業界の期待
FICO社のYoni Kaplanskyは「統合された可視性を提供するプラットフォームがクロスプラットフォームのセキュリティ運用を強化する」と述べており、またRubrik社のFaan DeSwardtも「マルチクラウド環境における可視化が大幅に向上した」とその感想を述べています。これにより、SOCチームはより迅速にインシデントを調査・封じ込められるようになります。
さらに、RSAの元会長であるArt Covielloも、この統合が「業界の方向性を象徴している」との見解を示し、攻撃シグナルの可視化の重要性を強調しています。
セキュリティイベントのご案内
2025年10月には「Security Days Fall 2025」に参画予定です。大阪での開催は、10月10日に行われ、東京では21日から24日まで実施されます。実践的な防御アプローチをテーマにしたセミナーも予定されていますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
今回の買収により、Vectra AIはクラウドネットワークの可視化と攻撃シグナル分析を融合し、企業のセキュリティを一段と強化する新時代を迎えています。今後の展開に注目が集まります。