試験中止と今後
2026-06-26 14:09:35
抗がん剤併用療法の試験中止報告、患者への影響と今後の展望
抗がん剤併用療法の試験中止報告、患者への影響と今後の展望
世界的に注目されているがん治療の分野で、ギリアド・サイエンシズとMerck & Co., Inc.より、重要な情報が発表されました。2023年6月8日、両社は、転移性非小細胞肺がん(mNSCLC)の治療歴がない特定の患者を対象とした第III相試験「KEYNOTE-D46/EVOKE-03」の結果に基づき、この試験を中止する決定を下したことを公表しました。
KEYNOTE-D46/EVOKE-03試験とは?
この試験は、特にPD-L1を高発現している(TPS 50%以上)の患者を対象に、ギリアドのトロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)と、Merckの抗PD-1抗体であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の併用療法の有効性や安全性を評価するものでした。試験は国際的に行われ、約620名の患者が募集されました。
中止の理由
試験中止は、外部データモニタリング委員会(eDMC)の勧告に基づいたものです。無増悪生存期間(PFS)の最終解析と全生存期間(OS)の中間解析から得られたデータによれば、PFSには数値的な改善が見られたものの、統計学的有意性が確認されませんでした。今後の最終解析でも、OSが統計的に有意である可能性は低いと見込まれています。
患者への伝達と今後の方針
両社は、この重要な研究に参加した患者やその家族、医療従事者に感謝の意を表明し、現在治験に参加している患者には、今後の治療方針について医師と相談するよう伝えています。なお、関連する新しい試験に変更はなく、治療の選択肢は引き続き提供されるとのことです。
肺がんの現状と治療の必要性
世界的に見ると、肺がんは非常に多くの患者に影響を及ぼす疾患であり、2022年には約250万人が新たに罹患したと報告されています。非小細胞肺がん(NSCLC)は、その約80%〜85%を占め、特に初回診断時に治療選択肢の限られた転移期の患者も多く存在しています。治療の進展にもかかわらず、転移性NSCLCの5年生存率は10%未満であり、効果的な治療選択肢の開発が急務とされています。
トロデルビとキイトルーダの役割
トロデルビは、TROP-2を標的とした新しい抗体薬物複合体で、複数のがん種において高い効果が期待されています。一方、キイトルーダはがん免疫療法の先駆けとして、自身の免疫力を高めるメカニズムでがん細胞を攻撃します。両社の研究が患者に新たな希望をもたらすことを期待しています。
この試験に関するさらなるデータは、今後の学術会議で公表される見込みです。移転性非小細胞肺がん患者に対する新たな治療法の開発が今後も進んでいくことが望まれています。