上司と部下のキャリア対話が消失？調査で明らかになったコミュニケーションの実態

上司と部下のキャリア対話が消失？

日本の企業において、上司と部下のキャリアについての対話が次第に減少しているというデータが『lotsful』の調査で明らかになりました。「はたらいて、笑おう。」というビジョンを掲げるパーソルグループの一員であるlotsful Companyが実施したこの調査は、20歳から40歳までの会社員を対象に行われ、キャリア自律と上司と部下のコミュニケーションの実態に迫りました。

調査結果の概要

調査の結果、全体の43.6％が上司と部下のコミュニケーションの頻度に「特に変わっていない」と回答しました。しかし、フルリモート勤務を行っている方々の中には「やや増えた」との回答が見受けられ、リモート環境におけるコミュニケーションの重要性が強調されました。ここからは、職場での対話が単に業務中心に偏り、キャリア形成に寄与する機会が不足している実態が伺えます。

キャリアについての会話不足

上司と部下の間で多く交わされる会話のテーマとしては、業務進捗や評価に関する話が中心となっており、キャリアに関する対話は極めて少ない状況です。実際に、部下の多くは「キャリアを語る機会がない」と感じており、その割合は全体の50%以上にも達します。これに対し、上司が行っているキャリア支援は、評価や目標設定に基づくフォーマルな提案にとどまり、部下の本音を聞く機会が欠如しています。

本音を引き出す難しさ

上司は「部下の本音を引き出しにくい」と感じる一方、部下は「キャリアについて話す機会がない」と回答しているため、両者の間にコミュニケーションのギャップが生じています。キャリア形成に影響を与えるべき対話が欠如している現状は、組織のキャリア戦略が注目される中でも、様々な問題を引き起こす要因となるでしょう。

副業への関心と実践の乖離

興味深いことに、副業や社外活動に関しては高い関心が見られるものの、実際に行動している人は限られています。特に20代の若者たちは副業を重視している一方で、環境的な制約から実践に踏み込めていないという状況も見受けられます。長期的には、より多くの人がキャリア自律を意識し、行動に移すことが求められますが、制度面や文化がそれを阻んでいる側面も否定できません。

理想の関係とは？

調査最後の部分では、上司と部下が築くべき関係性について触れられています。「干渉せず、必要なときにだけ支援してほしい」という意見が多く寄せられ、キャリア支援においては心理的安全性が重視される傾向が強まりました。特に若年層は対話を積極的に求めているため、企業にはフレキシブルなマネジメント手法が求められています。これにより、上司がただ管理するのではなく、部下のキャリア支援をする姿勢が求められる時代が来ています。

まとめ

今後の企業にとって、上司と部下の関係性を再構築し、キャリア対話の場を設けることが重要です。調査を通じて、キャリア自律や副業支援を実現するためには、業務中心のコミュニケーションから、一歩踏み込んだ支援体制が必要であることが鮮明になりました。キャリアの選択肢を増やし、各自が自分自身のキャリアに責任を持つ機会を提供するためには、組織全体での取り組みが不可欠です。