新聞印刷から注目の「彩のきくらげ」栽培事業へ
埼玉県川口市に拠点を置くTONICHIグループが、新聞印刷業から新たにきくらげ栽培事業に参入したというニュースが注目を集めています。この取り組みは、『プレスリリースアワード2025』において、4573件のエントリーの中から「Best101」に選出されるなど、その話題性と斬新さが評価されました。
TONICHIグループは1952年に設立された、世界最大級の新聞印刷会社であり、新聞業界の厳しい状況に直面する中、新たなビジネスモデルの模索が求められていました。そこで、川口市にある毎日新聞首都圏センター川口工場が、2025年2月から本格的にきくらげ栽培に取り組むこととなったのです。
意外なコラボレーション
新聞印刷工場でのきくらげ栽培という一見、意外な組み合わせには理由があります。温湿度管理を徹底し、24時間体制で作業する新聞印刷工場の特性が、きくらげの最適な栽培環境を提供すると考えられたからです。このユニークな発想は現場の社員から提案され、プレスリリースでもそのストーリーが大切にされています。
また、きくらげは日本国内での生産率が非常に低く、多くを輸入に頼る状況でした。栄養価が高く、健康食材としての需要が増加する中、国内での生産が求められていたため、この事業への参入は時宜を得たものでした。
ブランド名と理念
新たに栽培を開始したきくらげは、「彩のきくらげ」というブランド名で販売されています。これは、埼玉県のキャッチフレーズとも関連し、「彩の国から笑顔と健康を食卓に」という理念が込められています。安全・安心な製品を提供することを念頭に置き、日々栽培に励んでいます。
販売はインターネットや工場直売に加え、高品質スーパーマーケット「紀ノ国屋」やラグジュアリーホテル「ホテル椿山荘東京」、さらには有名中華料理店「過門香」でも行われており、着実に販路を拡大しています。いまや、地元の小学校給食にも採用されているなど、地域とのつながりを深めた展開も見られます。
メディアの反響
この取り組みはメディアでも大きな注目を集め、20を超える新聞、テレビ、雑誌などで取り上げられました。特に、SNSでの反響は大きく、プレゼントキャンペーンには1000件以上の応募が寄せられ、多くの人々がこの事業に関心を寄せていることが分かります。また、新たな取引先からの問い合わせや視察依頼も相次いでおり、TONICHIグループ全体に活力を与え、さらなる成長が期待されています。
今後の展望
TONICHIグループは、きくらげ栽培を通じて地域貢献を目指し、今後も成長を続ける計画です。環境への配慮を取り入れ、多様なビジネスへの適応を図る中で、地域と共に歩む企業としての姿勢を貫いていくでしょう。
新聞印刷業界が厳しい中、持続可能な成長を見据えた多角化戦略は、多くの企業にとっても参考となるのではないでしょうか。これからも、「彩のきくらげ」がどのように成長していくのか、その行方に注目です。