先進的な水道管腐食度推定システムの実証実験
産業技術総合研究所(産総研)が開発した新たな水道管腐食度推定システムが、福岡市での実証実験を開始します。このシステムは、地下の土壌比抵抗を高周波交流電気探査により迅速に測定し、水道管の腐食度を非破壊で推定することを可能にします。
水道管の老朽化問題
日本の水道管は1980年代に一斉に整備され、その多くが耐用年数を超えた状態にあります。特に、社会問題として水道管の老朽化が進行している現状は、全国の市街地で深刻な課題となっています。そのため、早急な対策とともに、水道管の腐食度を適切に推定し、更新の優先順位を決定することが求められています。
非破壊での土壌調査
この新しいシステムの主な特長は、アスファルトやコンクリートの路面を傷めることなく、土壌の腐食性を評価できる点にあります。測定は、高周波交流電流を使用して行われ、これにより、施工管理に多大な時間と労力を掛ける必要がなくなります。測定した土壌の比抵抗値をもとに、水道管の腐食リスクがどの程度かを効率的に評価することができます。
無人走行車両の活用
今回の実証実験では、無人走行車両(UGV)を利用して、広範囲の土壌比抵抗を迅速に測定します。UGVは、土壌の深度に応じて土壌比抵抗を計測するため、より正確な腐食度の推定が期待されています。実験では、土壌のサンプルを収集し、水道管の腐食状況と比べて腐食度を比較することで、予測の精度を高める試みが行われます。
水道管の更新優先順位
このシステムは、実証実験の結果をマッピングすることで、既存の水道管に対する更新の優先順位付けが可能になると期待されています。腐食リスクが高い箇所を優先的に把握し、効率的なメンテナンスを実施するための重要な技術です。
経済的なメリット
実証実験では、非破壊電気探査による水道管の腐食度推定値と実際の腐食度を比較するだけでなく、従来の方法に比べてコストと作業時間がどれだけ削減できるかを検証します。この結果をもとに、自治体の水道管理における導入が期待され、将来的には全国の水道管路の管理システムへの普及が見込まれています。
まとめ
この新技術は、水道事業を営む多くの自治体にとって、大きな助けとなることが予想されます。老朽化した水道管の早期発見と、計画的な管理を可能にするこのシステムは、公共インフラの持続可能性を高める一助となりそうです。今後の実証結果に注目が集まっています。