北海道の新たな乳製品製造技術
株式会社明治が開発した「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」が、令和8年度の北海道地方発明表彰において文部科学大臣賞を受賞しました。この技術は、北海道産生乳を使用した乳原料の価値向上に貢献し、新しい乳製品の誕生を促しています。
発明の背景と概要
従来、濃縮乳の製造は蒸発濃縮法が主流でしたが、この方法では加熱による香気成分の損失や風味の低下が問題とされていました。明治が実用化した氷点濃縮技術は、凍結による濃縮を可能にした初の試みで、真空下で水分を蒸発させることなく、新鮮な風味を保ちながら乳を濃縮します。
具体的には、原料乳をやや氷点下の温度に冷却し、氷結晶を形成させます。これにより、氷結晶と原料乳を分離することができ、氷結晶が持つ乳成分を失うことなく濃縮乳を製造します。この技術により、新鮮なミルクの香りが豊かで、且つ加熱時の不快な匂いが少ない、質の高い製品の提供を実現しました。
濃縮乳の特長
この新たに発明された濃縮乳は、香り成分である2-Butanoneが従来の蒸発濃縮法に比べ25倍も多く含まれています。一方、加熱臭の原因とされる成分であるジメチルジスルフィド(DMDS)は50%以下に抑えられています。これにより、消費者にとってより美味しさを追求した乳製品を提供できるようになりました。
受賞の意義
明治のこの発明は、乳原料の高付加価値化に繋がるだけでなく、北海道の産業振興にも寄与するものとされています。明治は、受賞の際に「新鮮なミルクの香りを大切にし品質の向上を追求する姿勢を今後も貫いていく」とコメントしています。
表彰式の様子
表彰は2026年10月26日に行われ、明治の研究者たちが出席しました。出席者は、獲得した賞を誇りに思い、今後もさらなる技術革新を目指す意欲を見せました。
地方発明表彰とは
地方発明表彰は、大正10年に始まり、優れた発明や技術を生み出した技術者や研究開発者を称える制度です。国内を8つの地域に分け、公益社団法人発明協会が主催しています。北海道では、これまでの受賞数も多く、地域の科学技術の発展に寄与しています。
明治の「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」は、今後の乳業界のスタンダードになる可能性を秘めており、消費者にも新たな美味しさを提供することが期待されています。