戦後80年展――「学問の独立」を問いなおす
戦後80年を迎えた2023年、戦争を直接体験した世代が減少する中で、戦争は次第に若い世代にとって遠い出来事となっていきます。そのため、学校では戦時下の状況を学ぶ機会が増えているものの、学生たちからは「もし自分が戦争の中にいたら何も考えられないだろう」といった声が聞かれることが多くなりました。このような感覚は、平和に感謝する一方で、戦争を現実味のないものとして受け止める傾向を生んでいます。しかし、ウクライナやガザ地区での悲劇は、私は我々が未だに戦争という現実を直視しなければならないことを訴えかけています。
早稲田大学は、80年前の戦争中に多大な人的・物的被害を受けた歴史を持ちながら、同時に戦争に協力するという難しい選択を迫られました。「学問の独立」を掲げるこの大学では、戦争や権力とどのように向き合うべきかを常に問い続け、その教訓を次世代へと語り継ぐ使命があると言えます。
これまでも早稲田大学歴史館は、2013年、2015年、そして2023年と戦争に関連する展覧会を開催してきました。これらの展覧会では、主に「学徒出陣」をテーマに、戦中や敗戦の状況を取り上げてきました。しかし、戦争が「8月15日」で終わったわけではなく、その影響はその後も続き、大学の「戦後史」へとつながっていきます。現在、早稲田大学歴史館では『早稲田大学百五十年史』の戦後編にあたる第二巻の編纂が進行中です。
今回は、戦後80年展において、年史事業の成果を踏まえながら「学問の独立」が戦時下でどのように失われ、また戦後にどう再評価されていったのかを探る展示を行います。先人たちがどのように戦争と向き合ったのか、その姿を次の世代にどのように繋げていくのかを共に考える機会を提供したいと考えています。
展示の詳細情報
開催概要
- - 会期: 2023年7月4日(金)~8月31日(日)
※休館日: 水曜日、8月7日(木)~17日(日)。なお、8月20日、27日は開館。
- - 入館料: 無料
- - 開館時間: 10:00~17:00
- - 開催場所: 早稲田大学歴史館企画展示室
- - アクセス: 〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学早稲田キャンパス1号館1階
東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩5分、JR山手線・西武新宿線高田馬場駅から都営バス「早大正門」行終点下車徒歩1分
主催
早稲田大学歴史館
公式HP
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Instagram: @waseda_univ_cul
本展は、過去の経験を未来につなげる大切な機会ですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。