外国人介護士雇用の現状と課題：介護業界における実態調査結果

外国人介護士雇用の実態とその課題

近年、日本の介護業界では外国人介護士の雇用が注目されています。株式会社アルフォース・ワンが行った「介護業界の外国人雇用の実態調査」によれば、82.7％の事業所が外国人介護士を過去に雇用した経験があり、59.1％の事業所が現在も外国人介護士を雇用していることが明らかになりました。このような状況は、特に人材不足が深刻な介護業界において外国人の雇用が重要な解決策となっていることを示しています。

外国人介護士の雇用経験

調査対象は全国の介護施設に勤務する20代から60代までの110名。調査結果によると、85.4%と多くの事業所が外国人介護士の雇用経験があることが判明しました。具体的には、8割強が外国人介護士を雇用した経験を持ち、選択肢の中でも雇用の可能性がある事業所が存在することがわかります。しかし、雇用経験がない事業所の中には、外国人介護士の採用を考えているとの回答が10.9％あり、需要が高まる気配を示しています。

課題と抵抗感

ただし、調査では外国人介護士の雇用に関して、約6.4％の事業所が今後採用する予定がなく、また23.6％が以前は雇用していたものの現在はそうでないとの回答も見受けられました。この背景には、言語の壁や文化の違い、施設利用者やその家族からの抵抗感が関与していると考えられます。特に日本語でのコミュニケーションの難しさは、外国人介護士にとって大きなハードルとなっているようです。

成功と判断

さらに、外国人介護士を雇用している事業所については、46.4％が雇用が「成功だった」と回答しているものの、53.6％が成功とも失敗とも言えないとの見解を示しています。これは、日本の介護現場が直面している人材不足という大きな問題に対して、外国人の雇用が必ずしも即効的な解決策になるわけではないことを示唆しています。コミュニケーションや文化的な問題をしっかりと解決しない限り、条件とメリットのバランスが不可欠です。

特定技能制度と未来

さらに、特定技能制度により訪問介護職員としての外国人雇用が計画されていますが、今後どうなるのでしょうか。調査では約31％の事業所が外国人介護士を今後採用する予定と答えています。多くは人材不足解消のためという共通の理由で回答しており、このニーズは今後も継続する見込みです。

逆に、約42％の事業所が採用の予定がない理由として「文化・価値観の違い」「言葉の壁」を挙げています。ここで推察されるのは、採用後におけるコミュニケーションの問題が、やはり大きな障害となっているということです。特定技能制度が施行される2025年には、外国人介護士の雇用がもたらす新たな課題に対策を講じることが重要です。

最後に

実際の外国人介護士の雇用が進む一方で、業界内の課題も山積しています。彼らが職場で活躍できるためには、文化や言語の違いを超えた相互理解と受け入れの姿勢が必要です。外国人採用の窓口などを通じて、これらの重要な問題にも目を向けていくことが求められています。さまざまなバックグラウンドを持つ人材が、国際的な視点から日本の介護業界を支えていく日が訪れることを期待します。