社員教育に130万円を投資する「トラーチ」の人的資本経営とは

株式会社トラーチの人的資本経営の理念

奈良県に本社を構える株式会社トラーチでは、「人の成長が企業の成長を支える」という哲学のもとに、社員一人ひとりの成長を重要視した教育投資を行っています。具体的には、役職の上昇に伴い、教育にかかる費用が増えていき、多くの社員は年間で約130万円を研修や教育に充てるという驚異的な数字が報告されています。この取り組みは、人的資本経営を実践するための一環であり、単なる費用負担ではなく、企業成長への直結を目指しています。

国内平均を上回る圧倒的な投資額

株式会社産労総合研究所によると、全企業の平均的な教育研修費用は年間約3～4万円であり、大企業でもその額は約4万円程度にとどまることが多いとされています。しかしトラーチにおいては、管理職クラスで年間130万円という教育投資がなされており、これは大企業の平均額の約30倍、教育熱心な企業の2倍以上に相当します。この大胆な投資は、社員育成を企業成長の基盤とする「人的資本経営」の表現です。

実際に、年間の販売件数は1200件に達し、前年比で60%の売上上昇を達成しています。このような成果は、社員がコストではなく資本として育成されていく過程によるものといえるでしょう。

密度と継続性を重視した研修プログラム

トラーチでは、研修の密度とその持続性に重点を置いています。通常、正社員が受ける研修時間の平均は年間で約20時間ですが、トラーチでは短時間のプログラムを多数用意し、実践的なスキルを身につけられる仕組みを整えています。

たとえば週に一度行われる全社員参加の会議では、業務課題や改善策を共有し、営業向けのロールプレイや外部講師を招いた研修も実施。また、部署を超えて感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」の取り組みもあり、社内のコミュニケーションを活性化しています。

リーダー育成コースや組織マネジメント研修など、多彩なプログラムを通じて、社員は自らの成長を実感できる機会を得ています。これが営業力や組織力の向上に貢献し、業界内での販売実績1位にも繋がっているのです。

人的資本経営の開かれた未来

2023年には内閣府令の改正が行われ、上場企業において人的資本などに関する情報の開示が義務化されました。しかし、株式会社パーソル総合研究所の調査によると、そうした情報を定量的に開示している企業は極めて少数で、その平均額は一人当たり約10万円、研修時間は約25時間にとどまっています。トラーチでは、投資額や育成内容、成果を明確に示す「開かれた人的資本経営」を実施しており、社員教育投資の重要性を伝えています。