途上国の子どもたちを守るためのワクチン支援活動レポート
2025年12月初旬、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(以下、JCV)は、ミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツの4か国で行った子どもへのワクチン支援活動の実績を報告しました。総額約1億1,775万円分に及ぶワクチンや関連機器を、開発途上国の子どもたちの命を守るために贈りました。本記事では、その詳細な支援内容と、それぞれの国の現状についてお伝えします。
支援内容
1. ミャンマー
支援金額:
3,282万1,865円
ワクチン内容: 約9,000人分の経口ポリオ、不活化ポリオ、五価ワクチン、MR(はしか/風疹)など。
コールドチェーン機器(注射器、冷蔵ボックス、温度計など)や保健機関育成支援も行います。現地の紛争状況を受けて、ワクチン接種が困難な地域の子どもたちに向けて確実に支援を届ける努力が続いています。
2. ラオス
支援金額:
3,320万6,533円
ワクチン内容: 経口ポリオ35万人分、BCG(結核)31万人分、B型肝炎7万人分を配布。
ワクチン接種が進んでいますが、家庭の状況により接種の継続が難しい子どもたちも多くいます。特に、山岳地域ではその傾向が強く、今年はオンラインシステムを強化し、移動先でも適切なサポートを行う取り組みが進行中です。
3. ブータン
支援金額:
2,197万3,78円
ワクチン内容: 経口ポリオ4万人分、BCG(結核)4万2,000人分、MMR(はしか/おたふく風邪/風疹)3,750人分、DPT(ジフテリア/百日咳/破傷風)3万2,000人分、TD(破傷風/ジフテリア)5万2,000人分、B型肝炎5,000人分を提供。
医療スタッフは、徒歩で隔絶された地域を訪れ、子どもたちに必要なワクチンを届ける努力を行っています。これにより、ポリオやはしかの接種率は99%以上が維持されています。
4. バヌアツ
支援金額:
2,974万6,400円
ワクチン内容: 不活化ポリオ1万1,500人分、五価ワクチン2万7,000人分、MR(はしか/風疹)4万9,075人分などを支援しています。
2024年の地震被災からの復興も重なり、必要なワクチン接種を完了できている子どもは3人に1人しかいないという現状が浮き彫りになっています。百日咳のアウトブレイクも懸念されており、さらなる支援が求められています。
現地の子どもたちの状況
JCVは、現地のUNICEF事務所や医療従事者と連携し、子どもたちの健康を守るための取り組みを進めています。成果が見えている地域もあれば、依然として困難な状況にある地域もあるため、支援の輪を広げることが急務です。
ミャンマー
ミャンマーでは、クーデターによる内戦状態が続いており、多くの子どもたちがワクチン接種を受けられない状況が続いています。1日も早い停戦と和平が求められる中、JCVは少数民族地域の子どもたちに向けて、ワクチン接種活動を支援しています。
ラオス
ラオス北部では、山岳地帯の診療所でワクチンやコールドチェーン機器が活用されていますが、家庭の都合でワクチン接種を受けられない子どもも多いため、オンラインシステムで接種状況を確認できるようにしている取り組みが注目されています。
ブータン
ブータンでは、訪問医療を行っている看護師たちの努力が実を結び、ポリオやはしかの接種率が99%以上を保っています。これは、地域への継続的な訪問と医療の提供によるものです。
バヌアツ
バヌアツでは、ワクチン接種率の向上が見られるものの、約1/3の子どもたちが必要なワクチンを受けることができていません。引き続き、現地と協力し、必要なワクチンを提供するための支援が求められています。
結論
JCVは、これからもできる限りの支援を続け、開発途上国の子どもたちが必要なワクチンを受けられるよう努力する所存です。私たち一人一人の力が、この活動を支えることになります。今後とも、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。