ミドルシニア世代の転職実態を探る意識調査結果まとめ

ミドルシニア世代の転職に関する意識調査結果

公益財団法人産業雇用安定センターが行った「転職に関する意識調査」の結果が発表され、ミドルシニア世代において転職の実態や意識が明らかになりました。今回はその調査結果のポイントを紹介します。

調査の概要

調査は2025年10月に実施され、対象は40歳から59歳までの正社員で、過去10年以内に転職を経験した方々です。2,000人の回答を元に、系列的に収集されたデータを分析しました。この調査はミドルシニア世代のキャリアに関する理解を深め、失業のない労働移動を促すための施策に役立てられる予定です。

転職を考え始めたきっかけ

調査結果から、転職を考えた理由として最も多かったのは「給与・待遇（評価・査定）への不満」で、約37.3%。次いで「職場の人間関係」が32.9%、そして「仕事内容への不満・ミスマッチ」が27.0%の割合で挙げられています。この傾向は年代によって少し異なり、特に40代前半では「給与・待遇への不満」が強く感じられる一方、50代後半はその改善を求める人が減少することが見受けられました。

転職に際しての不安点

転職を考える際、ミドルシニア世代が抱える不安には「年齢による採用の厳しさ」が52.2%で最も多く、次いで「給与、年収がどうなるのか」という不安が44.5%、新しい職場環境への適応が33.8%となっています。年齢を重ねるごとに「採用の厳しさ」を感じる割合が増加し、特に50代後半ではその数値が60.4%に達することがわかっています。

転職活動のタイミング

調査では、約76.7%が離職前から転職活動を始めていることが示されました。また、離職前に転職先が決まっているのは約30%で、離職後では3ヶ月以内に決まる傾向が39.7%と高いのも特徴的です。

転職先の選択肢とキャリアチェンジ

興味深い点として、転職先の職種の変化が挙げられます。転職後の職種について、同業種の同職種が約40%に対し、異業種や異職種へのキャリアチェンジが全体の60%を占めていることがわかりました。これは特に、離職後に決定が遅れるほどキャリアチェンジの割合が増える傾向があることを示しています。

年収の変化

転職後、年収が上がったという回答は46.3%を占めており、これは喜ばしい結果と言えるでしょう。但し、50代後半においては年収が上がる割合が約33.6%と低下する傾向にあり、年齢による影響が顕著です。

転職の評価と後悔

転職を経て「良かった」と感じる点のトップは「給与・待遇の改善」で、35.8%がその結果を上げています。一方、半数近くが後悔した点は「特にない」と答えており、各年代での傾向は共通しています。後悔した点としては「給与・待遇が期待以下だった」が最も多く挙げられ、特に50代後半ではその割合が高くなっています。

転職で必要だと感じること

調査において、転職に際して必要なこととして多くの人が挙げたのは「希望条件の明確化」で36.3%、次いで「自身のキャリアの棚卸し」が33.2%、そして「将来のキャリアプラン」が24.1%です。特に後悔している人ほど、将来的なキャリアのビジョンや情報収集が重要であると感じています。

この調査は、ミドルシニア世代が転職を考えるきっかけや不安、重視するポイント、さらには転職後の満足度や後悔を浮き彫りにするものであり、今後のキャリア支援や労働市場の動向に大きな影響を与えるものと考えられます。質の高いサポートや情報提供が求められています。