東京医歯学総合研究所が直面する声の問題
東京医歯学総合研究所(以下、東京医歯学)は、最新のオープンイノベーションプロジェクト「Voice Retriever」を通じて、内閣総理大臣賞を受賞しました。このプロジェクトは、声を失った患者のために開発されたマウスピース型人工喉頭です。
声を失うことがもたらす孤独
日本国内では、年間約4,000人が喉頭がんやALSなどの病気により、突如として声を失います。既存の代用発声法は、多くの場合、音質や習得の難易度に課題があり、患者の生活品質(QOL)を低下させていました。こうした現実を打破するべく、東京医歯学は新しい技術の開発に取り組みました。
Voice Retrieverの革新
マウスピース型人工喉頭「Voice Retriever」は、口腔内の微細な動きを音源に変える画期的なデバイスです。以下の特徴があります。
1.
即応性: 複雑な訓練が不要で、装着初日から会話が可能。ユーザーが「口や舌を動かし」「マウスピースを装着」するだけで、即座に声を出すことができます。
2.
汎用性: 四肢麻痺患者でも使用でき、クリアな音声を提供します。
3.
実績: 2025年の販売開始から、すでに200名以上の方々が「自分の声」を取り戻しています。
賞の受賞理由
第8回日本オープンイノベーション大賞の内閣総理大臣賞は、単なる製品開発に留まらず、日本の医療や製造業に広がる「オープンイノベーションの理想形」として高く評価されました。
このプロジェクトでは、東京科学大学の特許技術を中心にスタートアップ、大手電機会社、医療機器関連の企業など、さまざまな分野の専門家が協力しています。特に、歯科医師がプロジェクトに直接関与し、ユーザーのニーズに基づいた製品開発を促進しました。
今後の展望
今後、東京医歯学は2028年までに、世界で500万人の発声障害者に「話す喜び」を届けることを目指しています。具体的なステップとしては、2027年に医療機器としての薬事申請を行い、翌年には海外展開を開始します。また、AIを活用した技術革新により、より自然な声の変換や多言語対応の開発も進める予定です。
山田大志のメッセージ
このプロジェクトを率いる代表取締役の山田大志は、「この賞は一人では達成できないもので、関係者の全ての協力があったからこそ得られたもの」と述べています。今後もオープンイノベーションを通じて、より多くの人々の声を取り戻し、生活の質の向上に寄与していく決意を示しました。
この革新的な「Voice Retriever」は、患者にとっての新たな希望の光となるでしょう。今後の展開にもぜひ注目していきたいです。