ナースまつり2025での看護の未来
2025年7月、東京ビッグサイトで行われた「ナースまつり2025」。このイベントは、看護師の働きやすさや将来の医療について考える場として、毎年多くの注目を集めています。今年も多くの医療機関が参加し、「日本一働きやすい病院アワード2025」が発表されました。その栄えある大賞は、神奈川県にある済生会横浜市東部病院が獲得。これに加え、同病院は「ベストプレゼン賞」も受賞し、W受賞の快挙となりました。
看護師支援と働きやすさの取り組み
このアワードは、日本における少子高齢化の進展に伴い、看護師の職場環境改善を目的にしています。特に、看護師の約8割が「仕事を辞めたい」と感じているという現実は、看護業界全体にとって大きな問題です。「日本一働きやすい病院アワード」は、看護師が「ワクワクできる」ような職場環境を作り出す優れた取り組みを評価し、全国の医療機関にその具体的な事例を還元することを目的としています。
今年は、全国各地から20の医療機関がエントリー。プレゼンテーション審査で選ばれた8施設が本選に参加し、最も多くの投票を得た済生会横浜市東部病院が堂々の第一位に輝きました。審査は、参加者の投票に基づき、どの医療機関が「看護師がいきいきと働けているか」を基準に行われました。
済生会横浜市東部病院の働きやすさを育む施策
済生会横浜市東部病院が実施している働きやすい取り組みは以下の3つに特化しています。
1.
人を大切にする取り組み
この病院では、職場の人間関係が離職理由の一因であることを考慮し、職員の雰囲気を改善するための施策に注力しています。インターンシップ参加者の入職応募率は驚異の85%を記録。新入職員には豪華なウェルカムボードを用意し、人に優しい職場環境を実現。さらに、夜勤時間を短縮し、勤務内に必要な情報収集の時間を設け、前残業ゼロを実現するなど、実際の業務負担も軽減しています。
2.
挑戦への支援
新人教育を強化し、院内認定研修制度や特定行為研修への参加を支援する体制を整えています。また、小児プライマリーケアに関する独自の課程も提供。これにより、職員は互いに切磋琢磨しながら成長できる環境を構築しています。
3.
未来を見据えた看護師の育成
今後の医療に必要なスキルを身につけるために、急性期以外の研修受講の機会を設け、視野を広げる施策を実施。そうすることで、患者に「ここで看護を受けてよかった」と思ってもらえるサービス提供を目指しています。
ワクワク病院賞を受賞した石巻健育会病院
今回のアワードでは、ブロンズ賞にあたるワクワク病院賞が、宮城県の石巻健育会病院に輝きました。震災からの復旧事例が、ハーバードビジネススクールでも取り上げられた同病院は、地域医療に対する姿勢が評価されています。福利厚生においても周囲を驚かせる取り組みを多く行っており、30万円の結婚祝い金や50万円の出産祝い金、自販機の無料制度などが職員の満足度向上に寄与しています。
「ナースまつり2025」の実績と盛り上がり
ナースまつり2025は、今年の来場者数が3069名を超え、多彩なコンテンツが用意されていました。看護師の日常生活に役立つ講義や交流会、さらにはナース服のファッションショーも行われ、多くの参加者が医療の未来について考えるきっかけとなりました。
看護師の多様な働き方や将来のキャリアについて理解を深めるこのイベントは、参加した看護師たちにとって非常に意義深いものとなりました。今後もこのような取り組みが引き続き注目され、看護業界の環境改善につながることを願っています。
【開催概要】
- - イベント名称: NURSE MATSURI ナースまつり 2025
- - 開催日時: 2025年7月16日(水)~18日(金)
- - 会場: 東京ビッグサイト西展示棟アトリウム
- - 主催: ナースまつり実行委員会
- - 参加費: 無料
- - 来場者数: 3069名
【さらに詳しい情報】
日本一働きやすい病院アワードの発表の様子は、YouTubeでも配信中です(https://www.youtube.com/live/o-fx4Qit1bc)。
(執筆:ナースまつり実行委員会副大会長 押川映子)
(写真提供:エンドステージフォトグラファー看護師 SCRAPPY KEIKO)