2025年5月の消費動向調査結果から見る日本の景気悪化と食費増加の現実
株式会社クロス・マーケティングが2025年5月に実施した消費動向に関する調査から、日本の現在の生活状況と消費行動の変化が浮き彫りになりました。本調査は、全国の20歳から69歳までの男女1,200人を対象に行い、生活実態や消費傾向、そして景気感について詳細に分析しています。
調査の目的と背景
この調査は、消費者の生活の質を、所得や消費行動といった観点から捉え、過去との比較を通じて景気動向の基礎資料を得ることを目的としています。年に二回実施されるこの調査は、現在の日本の経済状況、特にインフレや物価の上昇、外的要因の影響を反映しています。
生活実態と消費行動の変化
調査結果によれば、生活実態のDI値(動向指数)は、「睡眠時間」で5ポイントの減少を見せており、これは生活の質が低下していることを示唆しています。また、「給与所得」は上昇から低下に転じ、さらには「預貯金」も減少傾向にある一方、「食費」は4ポイント上昇しました。これは物価高に直面している実態を物語っており、給与が物価の上昇に追いついていないため、貯蓄に回す余裕がない様子が見て取れます。
消費動向を振り返ると、食材の高騰に伴い、外食頻度やテイクアウトの回数が7~9ポイントも低下しています。さらに、コンビニやオンラインサービスの利用頻度、衣類やアクセサリーの購入金額も7~8ポイントの減少を記録しました。これらのデータから、実質賃金が上がらず、消費行動が縮小している状況が見て取れます。
景気の見通しと消費予測
今後一年の景気について、59%の人が「悪くなると思う」と答えています。これは2020年のコロナ禍初期以来の高水準で、厳しい経済環境が続くことを懸念していることが分かります。自分自身の消費予測に関しては、52%が「変わらない」とし、26%が「減ると思う」との回答をが昨年よりも5ポイント増加し、消費意欲の低下が見て取れます。
キャッシュレス決済とセルフレジの現状
普段の支払方法においては、キャッシュレス決済を利用する人が45%、セルフレジ利用者は18%と、いずれも前年と同じ水準でした。しかし、マイナス面も浮かび上がり、「災害時の現金の必要性」や「システム障害の懸念」が半数以上の人の心配として挙がっています。また、セルフレジに対する不満も多く、「店員の呼び出しが必要」や「操作がスムーズにいかない」といった意見が目立ちました。
まとめ
以上の調査結果から、日本の消費者は厳しさを増す生活環境に直面していることが明らかになりました。特に食費の上昇が強く影響し、全体的な消費行動は縮小傾向にあります。今後もこのような動向が続くのか、しっかりと注視していく必要があります。消費者の不安を解消し、より良い生活環境を整備するための施策が求められる局面に来ているようです。