脳疾患治療の新展開
2025-04-16 11:27:25

脳疾患の治療に期待される次世代薬品の研究成果に注目

脳疾患の治療に期待される次世代薬品の研究成果



東京理科大学大学院の研究グループは、次世代の核酸医薬品「コレステロール結合ヘテロ二本鎖オリゴヌクレオチド(Chol-HDO)」の薬物動態に関する重要な成果を発表しました。この研究は、脳疾患、特に難治性のアルツハイマー病に対する新しい治療法の開発に向けた一歩となるでしょう。

研究の概要



吉岡志剛氏を中心とする研究チームは、Chol-HDOがマウスとラットで全身循環血液中に長時間留まり、脳組織へ効率良く送達されることを確認しました。この成果は、これまで治療法が確立されていなかった脳疾患に対する新たな治療薬開発の可能性を示しています。

核酸医薬品は、特定の遺伝子の発現を調節することによって疾患を治療する新しいタイプの薬剤です。この中でも、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)やヘテロ二本鎖オリゴヌクレオチド(HDO)は特に注目されています。そしてコレステロール結合HDOは、脳の組織での効果的な遺伝子発現制御を示すことが最近の研究で明らかになりました。

研究結果の詳細



今回の研究では、Chol-HDOがどのように体内で挙動するかを調査しました。従来のASOとHDOは体内で急速に消失する一方で、Chol-HDOは長時間血液中に滞留し、特に脳組織へ多く蓄積することが確認されました。また、Chol-HDOは肝臓と腎臓に均等に分布し、これまでの核酸医薬品とは異なる特異な動態を示しました。

さらに、Chol-HDOのタ ンパク質結合率が高く、特にリポタンパク質への結合が脳への到達に重要な役割を果たすことが示されました。この結合特性は、医薬品の効果的なデリバリーにも寄与することが期待されます。

未来に向けての展望



今後の展望としては、Chol-HDOのデリバリーシステムをさらに深化させ、脳疾患に対する治療薬の実用化に向けた取り組みが続くでしょう。研究者たちは、Chol-HDOを利用した核酸医薬品のDDS(ドラッグデリバリーシステム)の開発を進め、より高い治療効果を実現することを目指しています。

これらの成功は、将来的に脳疾患治療の新しい道を切り開くことにつながるでしょう。これまで有効な治療法がなかった現状を打破し、核酸医薬品が実用化される日がくることを期待しています。

本研究の結果は2025年2月18日に国際学術誌「Journal of Controlled Release」に掲載される予定です。この研究は日本学術振興会の助成を受けて実施されました。

用語解説


  • - mRNA(メッセンジャーRNA): DNA情報を転写し、タンパク質の合成を行う一本鎖RNA です。

このように、次世代医薬品であるChol-HDOに関する研究が進むことにより、脳疾患に対する新しい治療法が誕生することが今後ますます期待されています。


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