豪雪を支える地域エネルギー企業の新たな挑戦
福島県会津若松に本拠を構える会津ゼネラルホールディングスは、今年で創業70周年を迎える企業です。最初は海産物商としてスタートし、その後、石油や車検などのエネルギー関連事業に拡充。さらに、フィットネスや飲食業など、多様化を図りながら地域の生活を支えてきました。特に、2025年の豪雪シーズンには、地元に必要な石油や灯油を供給し、地域インフラを堅持する重要な役割を果たしています。
近年、自動車保有者の減少により、石油産業が厳しい状況に直面しています。その中で、会津ゼネラルも新たな収益源を求める必要に迫られていました。そこで、事業創造企画室が中心となり、谷津次長がアプリの開発を主導。2022年4月にリリースしたアプリは、事業戦略の一環として位置づけられ、2万を超えるサブスクリプション会員を獲得することとなりました。
新たな価値を提供するアプリ
会津ゼネラルのアプリは、もともと展開していた会員カードの電子化を進めるために設計されました。ユーザーからの信頼を得るため、単なる利便性の向上だけでなく、利用価値を共感してもらうことが鍵になります。アプリにはお得なクーポンが配布され、特に地域の需要に応じた商品を提案する機能があります。これにより、利用者数は増加し、利用する楽しさが広がっています。
サブスクリプションサービスの成功要因
成功のひとつは、現場スタッフ、特にセルフスタンドのスタッフが積極的にアプリをすすめたことです。彼らが「このアプリはいい」と利用促進を行った結果、サブスクリプション会員数は月単位で2〜3倍に増加しました。アプリ開発におけるオフラインでの動きが、デジタルサービスとも大きく関連していることが明らかになりました。
もう一つの要因は、シンプルな決済方法です。ユーザーが心理的に感じるハードルを下げるため、初回決済や継続決済をスムーズに行えるよう工夫がなされています。これにより、会員数の増加が進んだと考えられます。
株式会社iTANとの連携
会津ゼネラルはアプリ開発にあたり、東京都の株式会社iTANに相談しました。iTANは小規模ではありますが、その柔軟な発想力とカスタマイズ性の高さが評価され、開発パートナーとして選ばれたのです。iTANの提供するDXソリューションは、会津ゼネラルが持つビジネスとのシナジーを生むことに成功しました。
今後の展望
会津ゼネラルはアプリの機能を強化していく計画を持っています。特にデータの活用やユーザーインターフェースの改善に注力し、利便性の向上を図ります。加えて、現在はクーポンやお知らせを中心としたコミュニケーションを行っていますが、もっと多様なメリットを提供できるよう、商品の追加や機能更新も視野に入れています。また、新たに洗車のサブスクリプションサービスも開始し、好評を博しました。
震災や豪雪などの困難な状況を乗り越え、IT企業としてのブランドを確立しつつある会津ゼネラル。地域社会に新たな価値を提供し続け、これからも進化し続ける姿が期待されます。地域に根差した企業がどのようにDXを進め、サブスクリプションサービスを成功させたのか、これからも目が離せません。