企業のIT人材不足と障がい者雇用の新たな潮流
最近の調査によると、企業の約7割が「ITスキルを持つ障がい者」の採用を検討しているという結果が出ました。この傾向は、IT人材不足が深刻化する中、企業が新たな戦略を模索していることを示しています。
DX推進とDEI推進
現在の企業経営では、デジタルトランスフォーメーション(DX)と多様性の推進(DEI)が重要なテーマとなっています。特に、DXの推進には、優れたIT人材の確保が不可欠です。また、DEIの観点からは、障がい者など多様な人材の力を活用することが企業の成長に寄与すると考えられています。この二つの動向が合流し、ITスキルを持つ障がい者の雇用に大きな可能性が見出されています。
調査の概要と結果
サイボウズ株式会社のソーシャルデザインラボが実施した調査は、企業の人事担当者1,000名を対象に行われました。調査の狙いは、障がい者雇用の実態と意向を把握し、IT人材不足の解消に向けた可能性と課題を明らかにすることです。結果、企業のIT人材不足感は74%にも達し、76.3%が「採用が難しい」と認識しています。
特に、ITスキルを持つ障がい者を採用する意向を示した企業が71.4%に上ることから、企業が新たな人材源として障がい者雇用を考え始めていることがわかります。さらに、障がい者だけでなく、「働きづらさを抱える人」への関心も高まり、64.5%が前向きな検討姿勢を示しています。
施設外就労の可能性
調査では、障がい者が自社オフィスで働く「施設外就労」という新たな働き方にも注目が集まっています。62.1%がこの形態に対して前向きなイメージを持っていることから、企業の柔軟な働き方への意識が高まっていることが伺えます。しかし、現行の制度では施設外就労が法定雇用率の算定対象とならないことが、普及を妨げる要因となっています。
もし法定雇用率に施設外就労が含まれるとした場合、60.3%がその受け入れに前向きな意向を示したことから、制度が整えば障がい者雇用の選択肢が大きく広がる可能性があります。調査結果によると、施設外就労から直接雇用へと進むキャリアパスを「魅力的な仕組み」と評価する企業も約6割に上ります。
業務委託の可能性と実務上の不安
また、障がい者を持つ団体へのIT業務の委託に関しても関心が高く、約9割の企業が前向きでした。この新たな形態が普及することで、企業はより多様な人材を活用できるようになるでしょう。ただし、実際の採用に際しては「業務指示の方法」「職場環境の整備」など、実務上の不安が課題として浮かび上がりました。
まとめ
調査結果から、企業が障がい者を「支援の対象」ではなく、IT人材不足を解消する「戦力」として捉えるようになっていることが見受けられます。今後、ITツールの進展により、障がい者が自然とITスキルを習得し、企業に貢献する場面が増えていくと期待されます。これにより、障がい者雇用が企業の成長戦略となる大きな転換点を迎えているのです。
サイボウズ ソーシャルデザインラボは、障がいや働きづらさを抱える方々にITスキルを習得する場を提供し、企業との協働モデルを模索し続けています。このように、障がい者雇用は今後ますます重要なテーマとなるでしょう。