AIデータ社と国立情報学研究所が挑む、映像詐欺対策の新基盤構築

新たな映像詐欺対策の基盤が始動

近年、我々が目にする映像の信憑性が揺らいでいます。生成AIの発展により、本物と見分けがつかないフェイク映像や音声を誰でも製作できるようになったことで、映像の正当性を保つことがかつてないほど難しくなっています。この影響は、オンライン本人確認やSNSでの誤情報拡散、さらには子供の顔を使った不正行為にも及び、私たちの社会に深刻な危機をもたらしています。

AIデータ社は、国立情報学研究所（NII）が開発したフェイク映像検出AI「SYNTHETIQ VISION」を採用し、この問題に立ち向かうべく新たな「フェイク映像検出基盤」の構築を開始しました。この基盤は、特にeKYC、SNS、児童保護といった多様なユースケースを想定しており、映像の真偽を検証するための糸口を提供します。

フェイク映像検出AI「SYNTHETIQ VISION」

「SYNTHETIQ VISION」の特長は、AIが生成映像の微細な痕跡を解析し、その真偽を数値で評価する点にあります。このアプローチは、人間の目では判断が難しい映像に対しても、明確な指標を与えます。さらに、映像の圧縮や加工に対応したモデル構成によって、幅広い条件下でも検出が可能です。また、判断結果やその関連ログを保存しておく機能も搭載されており、後からの検証や監査の際にも役立ちます。

AIデータ社は、実際の業務シナリオにおいてこの基盤がどれほど効果的かを検証しており、その結果に基づき、どのように既存のシステムと連携させるか、また判定ログの管理の方法などを探求しています。

フェイク検出基盤の活用シーン

AIデータ社が想定している活用領域は以下の通りです。まずはeKYCや金融セキュリティです。ここでは、AI生成の顔や録画映像を用いたなりすましの口座開設や不正取引を検出するための支援を行うことを目指しています。次に、SNS投稿の審査や動画配信プラットフォームへの適用で、ユーザーの投稿映像を自動的にスクリーニングし、不適切な内容の削除を促す技術的な根拠を提供することが検討されています。

また、児童保護の分野では、子供の顔を使用したフェイクポルノやいじめ動画の検出を通じて、教育現場での安全性を確保する手助けをします。これらの活用は、今後の実証結果や関係機関との協議を経て、具体的な導入方法が決まる予定です。

提供形態と今後の展望

AIデータ社は、将来的にこの基盤を外部に提供する形態についても検討を進めています。SaaS型のサービスやAPI連携、歴代のブランドとしての提供モデルなど、利用者にとって使いやすい形を模索しています。

この「フェイク映像の検出」を実現する基盤の構築は、社会にとって重要な意味を持ちます。AIデータ社は、今後もeKYC、SNS、教育、自治体など、さまざまな領域での実務に即した検証を行い、関係機関との連携を深め、さらには法務分野における支援も進めていく意向です。これにより、人々が安心して映像コンテンツを利用できる社会を実現するための技術的整備が進むことでしょう。

AIデータ株式会社について

AIデータ株式会社は、データインフラと知財インフラを基盤に、長年にわたり企業や個人のデータ資産を保護し、活用する事業を展開しています。データエコシステム事業では、BCNアワードにおいて16年連続販売本数1位を獲得しており、信頼性の高いサービスを提供しています。今後もAI技術の進展を支えながら、社会基盤の強化に寄与することを目指しています。