新しい防災訓練の形、参加者が主人公
大阪・うめきたエリアで2026年5月に行われる「防災エンタビ®」は、従来の避難訓練とは一線を画した新しい防災プログラムです。このプログラムでは、参加者自身が物語の登場人物となり、実際の災害を疑似体験することで、判断能力と行動力を身に付けることを目的としています。
プログラムの特徴
「防災エンタビ®」は、参加者がその場で直面する危機を生々しく体験することに重点を置いています。参加者は、買い物中に突然発生する地震を経験し、その中で自らの行動を考えなければなりません。「揺れている、どうすればいいのか?」という混乱の中、自分自身がどう行動するのかを考えることで、ただ知識を習得するだけでなく、意思決定を行う力が育まれます。
実際の体験
プログラムは、さまざまな状況が参加者に訪れる形で進行されます。例えば、「ここに留まるべきか、今すぐ避難するべきか」という選択や、「スマートフォンを取りに戻る価値があるかどうか」といった判断が求められます。こうした選択肢の中で、どの行動が最良であるかを参加者同士で考え、話し合うことで、チームワークも求められます。
また、妊婦や外国人旅行者など、配慮が必要な人々への対応も重要なテーマです。速さを優先するか、安全を優先するか、道徳的な選択を迫られる場面も多く、参加者は何が最善なのかを常に考え続ける必要があります。
リアルな環境での避難シミュレーション
体験は、公園から市街の建物に移動することでさらにリアル感を増します。階段を使った避難や、集団での行動を求められることによって、実際の災害時にどう行動するかが体験できるのです。
背景にある防災教育の課題
日本では防災教育や避難訓練は広く行われていますが、多くの場合、それは手順やルールの確認に留まることが多く、実際の災害時に冷静に判断し、適切に行動できるかどうかは別の問題です。これは、予期せぬ事態への対応力を育むことが難しいからです。防災エンタビ(R)の目的は、この課題に対して「判断を体験する」ことで参加者の行動変容を促すことです。
新たな防災モデルの展望
「防災エンタビ®」の特徴は、エンターテインメントとして設計されていることです。しかし、これは単なる娯楽の枠を超え、参加者の当事者意識を引き出すことを目的としています。参加者は演者ではなく、実際にその場で行動する一個人として、判断を下す連続を通じて防災を「ジブンゴト」として捉えることができます。
今後の展開と期待
今後の予定として、自治体や商業施設、教育機関と連携し、地域の特性に応じた「防災エンタビ(R)」の導入をすすめていくとのことです。防災訓練、地域連携、顧客体験を統合した新たなモデルを全国に広げることを目指しています。
災害時に問われるのは、知識ではなくその場での判断と行動です。「もし今、この場所で災害が起きたら、あなたは動けるだろうか。」そんな質問が自分自身を見つめ直すきっかけとなるでしょう。