白亜紀日本の火山活動
2025-09-03 12:30:44

日本列島の火山活動が白亜紀に極まった理由を探る研究が発表

日本列島の白亜紀における火山活動の解明



最近の研究により、日本列島での火山活動に関する重要な知見が明らかになりました。国立研究開発法人産業技術総合研究所と東京大学の研究チームが行ったこの調査では、約9000万年前から6000万年前にかけて発生した「イグニンブライト・フレアアップ」の背後にある原因が解明されました。この研究は、白亜紀から古第三紀にかけて日本列島と朝鮮半島で分布する火成岩の元素の同位体組成を分析することで行われました。

研究の背景と目的



イグニンブライト・フレアアップとは、ある地域内で地質的に短期間のうちに大規模なカルデラ噴火が集中して発生する現象です。この現象は、地球上で他の場所でも確認されてきましたが、日本の白亜紀の火山活動においてどのような要因が絡むのか、これまではっきりしなかった点が多くありました。この研究は、この謎を解明するための一環として行われました。

分析データの構築



研究チームは、日本と朝鮮半島に分布する火成岩に含まれるストロンチウム(Sr)とネオジム(Nd)の同位体組成に関する既存研究を統合し、データベースを作成しました。このデータベースには、約2300サンプルが含まれており、マグマの同位体組成が約1億年前に急激に変化したことが明らかになりました。

イグニンブライト・フレアアップの発生原因



研究の結果、日本におけるイグニンブライト・フレアアップは、熱いマントルが大陸プレートの下部に流入し、その影響を受けて発生したことが示されました。具体的には、古い海洋プレートの端がマントル側に変形する「スラブ・ロールバック」が関与していると考えられています。この現象によって、火山活動の活発化が引き起こされたのです。

社会的意義



この研究は、地球の火山活動におけるマグマ生成のプロセスを解明する上で重要な役割を果たします。特に大規模なカルデラ噴火が及ぼす影響は、気候や社会に多大なる影響を与えるため、その発生メカニズムを理解することは、自然災害の予測と防止に寄与します。

今後の展望



今後の研究では、他の地域におけるイグニンブライト・フレアアップの原因を解明することが期待されています。環太平洋地域を含むさまざまな地理的背景を持った地域での火山活動を比較分析することで、より広範な火山活動の理解が深まるでしょう。

この研究結果は、2025年9月2日に「Progress in Earth and Planetary Science」に掲載されました。これからの研究の進展に期待が寄せられると同時に、私たちにとって身近な自然災害に対する理解が一層深まることを願っています。


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