新刊書籍「D・フィッシャー=ディースカウ先生の教え」
2025年5月31日に発行される新刊、著者はピアニストの子安ゆかり氏。彼女が20世紀最高の歌手として称えられるD・フィッシャー=ディースカウから受けた学びや経験を綴った、このメモワールは、音楽ファン必見の一冊です。フィッシャー=ディースカウの偉大な足跡と彼の人間性、音楽に対する情熱が、子安氏の目を通して明らかにされます。
D・フィッシャー=ディースカウは、その深みある声と表現力で、多くの人々の心を魅了し続けています。その没後も影響力を失わず、多くの歌手や音楽家によって語り継がれています。本書では、子安氏が1990年にシュトゥットガルトで過ごした濃密な2週間の思い出をもとに、フィッシャー=ディースカウとの出会いを丁寧に描き出しています。
巨匠との特別な経験
子安氏は、フィッシャー=ディースカウのマスタークラスを受講する中で、彼の音楽に対する真摯な姿勢や、リートの深い魅力を学びました。このマスタークラスは、単なる学びの場ではなく、フィッシャー=ディースカウ先生の音楽に対する愛情や、人としての温かさを直に感じ取る貴重な機会でした。
本書は単なる記録の域を超えています。子安氏は、この体験を通じて得た巨匠の温かいコミュニケーションや、音楽に対する深い考察を、丁寧に紡ぎ出しています。彼女の文章からは、フィッシャー=ディースカウの教えがどれほどの影響を与えたのかを感じ取ることができます。彼の指導がいかに弟子たちの音楽観を豊かにしたか、そしてどんな人だったのかを知ることができるでしょう。
音楽の豊かさと新たな発見
「リートって、こんなに生き生きして楽しいものだったんだ」。本書を手に取る読者は、新たな音楽の喜びに満たされることでしょう。子安氏の優れた楽曲の分析や、リートに対する情熱が、読者に感動を与えてくれることは間違いありません。また、彼女の言葉によって、多くの音楽ファンがリートの楽しさに気づくきっかけになることを期待しています。
著者とその活動
子安ゆかり氏は、東京都出身であり、武蔵野音楽大学を卒業後、ケルン音楽大学大学院で歌曲演奏法を学びました。フィッシャー=ディースカウのマスタークラスの伴奏者を務めた後は、国内外でコンサート活動や講演、講習会を通じて「アンサンブルとしてのドイツ・リートの魅力」を広めています。演奏の質に対するこだわりや、後進の指導への積極的な姿勢は、彼女の音楽活動の大きな特徴です。
また、書籍の中盤には、彼女の推薦に対する感謝の気持ちが綴られているマティアス・ゲルネ氏のコメントがあります。彼は長年にわたり子安氏と親交を持ち、その音楽への情熱を深く感じてきたと語ります。彼の言葉を通じて、子安氏の道のりやフィッシャー=ディースカウから受け継ぐものの重みを感じることができるでしょう。
まとめ
「D・フィッシャー=ディースカウ先生の教え」は、音楽の真正な魅力を再確認させてくれる一冊です。フィッシャー=ディースカウの温かい教えや深い考え方は、読者に新たな音楽体験をもたらすことでしょう。音楽ファンだけでなく、古典音楽に興味を持つすべての人々にとって、必読の作品です。