2025年上期M&A採用市場の動向とPEファンドの重要性
株式会社コトラが発表した2025年上期M&A関連の採用市場についての分析になります。日本のM&A市場は、近年拡大を続けており、その要因の一つとして中小企業の事業承継問題が挙げられます。特に、PE(プライベート・エクイティ)ファンドを活用した取引の増加が目立ちます。
M&A関連人材の採用動向
M&A市場は引き続き成長を遂げており、特にM&A仲介企業や投資銀行などでの求人が活発です。中小企業庁によると、2025年2月の時点で日本国内に登録されているM&A仲介業者は2,841件を数え、設立からの年次比も増加しています。この背景には、M&Aニーズの拡大と中小企業の事業承継の必要性があると言われています。
コトラの調査によれば、未経験者を積極的に採用する動きも見られ、特に営業ノウハウやファイナンススキルといった専門性が求められています。
必要となるスキルセット
M&A仲介職では、営業力や財務諸表を正確に読み解ける分析能力が重視されます。FA(ファイナンシャルアドバイザリー)職になると、ファイナンススキルや企業価値評価に関する深い理解が求められるため、専門知識が不可欠です。さらに、PMI(Post-Merger Integration)や戦略策定に関わる人材には、「統合後のビジョン」を描く能力が求められます。
市場拡大の要因
日本の中小企業においては、経営者の高齢化による後継者不在の問題が顕在化しており、それに対する対策としてM&Aがますます注目されています。また、PEファンドを活用した「成長戦略型M&A」も増加傾向にあり、この潮流は顧客側にとっても大きな影響を及ぼしています。
上場企業におけるコーポレートカーブアウト(事業の売却)も増加しており、非中核事業を切り出すことで中核事業に経営資源を集中させる動きが見られます。これにより、投資銀行やM&A業者のニーズが拡大しています。
日本市場の変化
最近、日本市場全体が「株主を重視する」方向にシフトしているのも注目すべき点です。米国の大手投資会社KKRが日本市場への大規模投資を表明したことで、日本企業のガバナンス意識が高まってきています。このように、株主利益の最大化を追求する姿勢は、今後のM&A市場にさらなる活気をもたらすでしょう。
2025年下期の展望
2025年下期においては、PEファンドの動きが一層活発化すると見られています。企業がPEファンドとのネットワークを構築し、新たなチームを作る動きが進む中で、売買案件も増加する見込みです。また、M&A実務経験者を求める流れが強まっており、人材の流動性が高まることが予想されます。
コンサルタント紹介
青島 志朗氏は名古屋大学の修了後、証券会社やリクルートでの経験を経て、M&A業界に参入、コトラで活躍しています。年間30名程度の人材支援実績があり、特にM&Aポジションに関する見識が深いです。
株式会社コトラについて
コトラはプロフェッショナル人材の採用支援や人的資本コンサルティングに力を入れています。成長をサポートするため、人材と企業双方に最適なソリューションを提供しています。