電通総研、デジタル証明書の新ソリューションを始動
東京・港区に本社を構える電通総研は、国際的な標準技術に基づくデジタル証明書(VC:Verifiable Credentials)の発行・管理・検証を行う新たなソリューションの提供を、2024年4月14日からスタートすると発表しました。これは、企業と社会の信頼性を向上させるための重要な一歩となります。
デジタル証明書(VC)とは
VCとは、第三者機関によってその正当性が保証されたデジタル証明書のことです。この製品は、企業や自治体、教育機関などが個人に発行し、本人が保持する情報を基にデジタルIDウォレットで管理します。個人がこれらの証明書を提示することで、サービス提供者はその信頼性を確認することができます。
ソリューションの特徴
この新しいソリューションは、VCを発行・検証するWeb APIと、そのVCを管理するための「デジタルIDウォレット」から構成されています。発行者はAPIを介してVCを発行し、所有者はデジタルIDウォレットで安全に管理することができます。また、サービス提供者はAPIを使用してVCを検証し、その信頼性を即座に確認できる仕組みです。
主な特徴としては、以下のような点が挙げられます。
1.
認証技術の国際標準準拠:VCの発行にあたっては、Authlete 3.0を使用し、OID4 VCに準拠した認証・認可機能を提供します。国際的に標準化されたプロセスを実現し、セキュリティを高めます。
2.
デジタルIDウォレットの実装:EUのデジタルID規則に基づいた設計を採用し、国際的な相互運用性を持つウォレットを構築。これにより、多くの地域で共通のルールを持つことで、いつでもどこでも安心して利用可能です。
3.
選択的情報開示が可能:データフォーマットにはmdoc/SD-JWT VCを採用し、ユーザーが自己の情報を選択的に開示できる柔軟性を持たせています。
背景とニーズ
現在、デジタル社会における情報漏洩やデータ改竄といったリスクが高まり、個人情報保護と信頼性確保が急務となっています。そのため、真に信頼できる情報のやりとりのために、VCの活用が注目されています。
電通総研はこれまでにも、デジタル庁の取り組み「Trusted Web」の実現に向けた実証事業を通じて、インターネット上での情報信頼性の向上に貢献してきました。この度のVCソリューションは、その研究成果を基にして開発されており、2025年秋頃の提供を見込んでいます。
共創型PoCの実施
また、今後はパートナー企業との共創によるPoC(Proof of Concept)を推進し、実際の業務環境に近い条件下でのテストを行います。このプロセスでは、VC発行や検証に関するプログラムやデジタルIDウォレットアプリの構築手順書を提供します。また、企業の参加を募る応募期間は2025年5月31日までとなっており、参加希望の企業はフォームから申し込むことができます。
今後のビジョン
電通総研は、今後の展開としてVCの普及とその活用方法の研究をさらに進め、国内外の企業や行政機関、教育機関との連携を通じて新たな利用シーンの創出に取り組んでいきます。この取り組みは、デジタル社会における取引の信頼性向上に寄与するとともに、新たな価値を生み出すことを目指しています。
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future」を企業ビジョンに掲げ、人とテクノロジーの融合による社会の進化を支援することに力を入れており、今後も「X Innovation」を通じた新しい価値創出を推進していきます。