ウェアラブルデータで健康基準値を構築
株式会社テックドクターは、約2,000名の日本人就労世代を対象にウェアラブルデータを解析し、活動、睡眠、心拍変動に関する基準値を構築しました。本研究は、健康管理や疾患予測のための基盤として、年齢や性別に応じた正常範囲を示すもので、健康分野における新たな可能性を開くものです。
研究の背景と目的
近年、ウェアラブルデバイスの普及に伴い、健康データの活用が注目されています。これにより、日常の活動量や睡眠、心拍の変動が健康状態や疾患リスクとどのように関連するか、さまざまな研究が進められています。例えば、歩数を増やすことで全死亡や慢性疾患リスクが低下することが示されています。そのため、これらのデータに基づく基準値の構築が急務となっていました。
研究目的
本研究の主な目的は、年齢と性別に分けた基準値を設定し、各種指標が正常範囲内かを判断できるようにすることでした。特に、心拍変動、活動量、睡眠に関するデータを利用して、基準値の信頼性を高めることが目指されました。
研究方法
対象者
研究には、企業に勤務する25歳から65歳までの従業員1,996名が参加しました。性別では男性が1,260名、女性が736名です。データは2023年1月から2025年11月までの約435日間、Google Fitbit装着者から取得しました。
取得データ
得られたデータには、活動量、睡眠ステージ(覚醒、REM、浅い、深い)、および心拍の変動が含まれました。解析された対象者数は、活動量指標1,920名、睡眠時間1,899名、睡眠段階と心拍変動は1,934名です。
研究結果
心拍変動
心拍変動の基準値は、年齢層による男女差が顕著でした。25歳の時点では、男性の中央値が32ms、女性が27msでしたが、年齢を重ねるにつれて低下していく傾向が見られました。60歳までには男女差が縮小し、健康状態の変化が示唆されました。
活動量
歩数は、男性が常に高い数値を示しましたが、加齢による変化は限定的でした。総身体活動量は加齢とともに増加傾向があり、これが睡眠時間の減少に関連する可能性も指摘されています。
睡眠指標
男女ともに、加齢に伴う睡眠時間の減少が確認されました。例えば、25歳の男性は平均7.1時間、女性は7.7時間でしたが、65歳になるとそれぞれ6.6時間、6.7時間に減少しました。深い睡眠の割合も低下し、睡眠が浅くなる傾向が見られました。
健康状態との関連
ウェアラブルデータと健康診断結果の関連を調査した結果、既往歴やメタボリックシンドロームの指標に該当する人々では心拍変動の低下と心拍数の上昇が確認され、基準値からの逸脱が健康リスクと関連することが示されました。
研究成果の社会的意義
本研究は、国内の大規模なウェアラブルデータを基にした初の試みとして、活動・睡眠・心拍変動の基準値の構築に成功しました。これにより、個人の健康状態をより客観的に把握できる新たな基盤が得られ、将来的には生活習慣病の早期発見や個別化された健康指導へとつながることが期待されています。また、健康診断との関連性も確認されたことで、今後の研究や実務に役立つ知見が得られました。
テックドクターは、今後もウェアラブルデータを用いた研究を進め、日常データの活用による新しいヘルスケアの実現を目指してまいります。