乱気流予測プロジェクト
2025-09-24 15:12:13

日本航空などが進める「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」の全貌

日本航空などが進める「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」の全貌



2024年12月より始まる「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」が、国土交通省の交通運輸技術開発推進制度に認可され、日本航空株式会社、国立大学法人東北大学、株式会社ウェザーニューズ、DoerResearch株式会社という4つの機関が共同で進めます。

乱気流予測の重要性


航空機の運航における安全性向上は必須の課題です。特に「晴天乱気流」は、晴れた空の高層で発生し、視覚的な兆候が存在しないため、予測が極めて難しいという特性があります。この乱気流は風向きや速度が突如変動するため、乗客や乗員に危険を及ぼす可能性があります。最近の統計によると、国内における航空事故の約55%がこの乱気流に関連していると言われています。

地球温暖化の影響で、晴天乱気流の発生頻度は過去40年で55%も増加しています。こうした背景もあり、安全な運航とエコな運行の両立が急務とされています。

現状の問題とプロジェクトの目指す方向


既存の乱気流予測システムは、広範囲なエリアの情報を低頻度で更新するため、刻一刻と変化する空の状況に追いつけていません。このプロジェクトでは、地球全体の気象データ(全球数値予報)だけでなく、特定地域での詳細な気象解析(高解像度気象解析)や、飛行中の航空機からのリアルタイムデータを統合して活用します。

加えて、機械学習を活かし、情報を集約することで、実用的なAI統合型のリアルタイム乱気流予測システムを構築予定です。

このシステムは、国際線において飛行中に変化する大気条件の予測や、便数が少ない海上などでも高精度で最新の乱気流予測情報を提供できるという大きな特徴があります。これにより、乱気流の予測精度を高め、運航中の安全性を向上させることを目指します。

環境面への配慮


さらに、リアルタイム予測の精度向上は、高度変更や余剰燃料の搭載を減少させる可能性もあります。結果的に、燃料費を削減し、CO₂排出量の削減にも貢献できるとされており、環境への影響も考慮されています。

各社の役割と今後の展開


このプロジェクトでは、日本航空が運航者の視点で全体をリードし、東北大学がデータ解析を担当。DoerResearchは予測モデルを開発し、ウェザーニューズはサービス提供体制を構築。そのため、これら4社の専門性を融合させた一体的な体制で研究開発を進めていくことになります。

まずは予測の精度向上に努め、その後、最新情報を提供する体制を整える方針です。2027年度には複数の路線や機種での運航トライアルが実施され、リアルタイム更新の模擬事例が拡充される見込みです。こうして、実生活への適用を目指します。

新しい技術が航空業界にもたらす変革が期待される中、乗客と航空会社の双方にとって安全で快適な空の旅に向けた新しい一歩として、この取り組みが注目されています。


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