被爆から80年、次世代と共有する核の教訓
2023年2月14日、パルシステム連合会は東新宿にて「Hibakusha Dialogue」を開催しました。このイベントには、長崎で被爆した福島富子さんと、ノーベル平和賞受賞式に参加した浅野英男さんが参加し、核兵器がもたらす悲劇と「核兵器のない世界」の重要性について語り合いました。
被爆者の経験と声
福島さんは生後6ヶ月の時に長崎で被爆し、幸運にも家族とともに生き延びましたが、その後の人生は離別や差別に苦しむものでした。彼女は高校卒業後に、自らの被爆者としてのアイデンティティを認識し、34歳で被爆者の会に参加しました。
「被爆の経験がない自分が語る資格があるのか、当初は迷いもありました。しかし、福島原発の事故を機に、声を上げなければならないと感じました」と福島さんは告白します。彼女の決意は、ただ自らの経験を知ってもらうだけではなく、未来の世代に核の恐怖と平和の大切さを伝えていくことにあります。
福島さんは、その後も国際的な核廃絶活動に参加し、様々な機会で自身の体験を共有してきました。「核兵器があったから、家族との悲しい別れがあったのです。誰もが同じ思いをしないように伝え続ける使命を感じています」と力強く語ります。
核兵器廃絶への道
一方、浅野さんもノーベル平和賞授賞式の際に、被爆者のメッセージを世界に届ける活動を行いました。オスロの街中では、被爆者の象徴でもある折り鶴や関連する展示が見られ、受賞式は多くの人々に歓迎されました。
授賞理由には「被爆者が核兵器廃絶に模索し続ける意義」と「核のタブー化への貢献」がありました。特に、現代の国際社会において核の脅威が再び高まっている今、その必要性が見直されています。浅野さんは、「被爆者の体験が人々に感情的な影響を与え、新しい世代のアクションに繋がる重要性を感じています」と強調しました。
交流と未来の希望
「Hibakusha Dialogue」では、参加者同士の対話も活発に行われ、被爆者の声を次世代にどう継承していくか、共に考える良い機会となりました。福島さんや浅野さんの経験談を受けて、多くの人々が心を動かされ、共感を示しました。また、パルシステムは今後もこの取り組みを続けていく意向を表明しています。
「私たちの活動が、皆さんの日常の中に少しでも平和の大切さを届けられたら嬉しい」と語る福島さんの姿には、確かな信念が宿っています。次世代と共に「平和で核のない未来」を考える大切な時間が、ここで築かれたのです。
このように、被爆者の証言を通じて核兵器の影響を知り、未来へと繋げていくことの重要性は、これからも我々の世代に受け継がれていくことでしょう。