フィリップスが開発した新型超音波診断装置で医療現場を変革
フィリップス・ジャパンは、2025年8月1日より新しい循環器向けの超音波診断装置であるEPIQ/Affiniti CVx Transcend Plusシリーズを市場に投入しました。これにより、心血管疾患(CVD)の診断精度を向上させることを目的とし、医療現場のさまざまな課題に対処する新たな一歩を踏み出しました。
心血管疾患の現状と新たなニーズ
近年、心血管疾患による死亡者数が増加しており、2021年には世界的な主要な死亡要因となりました。このような背景を受けて、迅速かつ正確な診断が求められています。しかし、医療従事者の不足が問題視されており、2028年には約10万人が不足すると予測されています。この状況において、AI技術は医療現場の効率化に貢献する重要な要素として注目されています。
Transcend Plusシリーズの特長
フィリップスのTranscend Plusシリーズは、昨年リリースされたEPIQ/Affiniti Transcendシリーズをさらに進化させたモデルです。以下にその主要な機能を紹介します。
1. 画質の向上
Transcend Plusシリーズでは、nSIGHT PlusやXRes、Image Boostといった画像処理技術が改良され、経胸壁や経食道心エコー用のトランスジューサで画質が高まっています。特に、細径3D経食道トランスジューサであるX11-4tでは、基本となる2Dや3D画像のクオリティが向上し、心拍数が速い小児の診断にも対応できる能力を備えています。
2. AI技術の搭載
このシリーズは、ディープ・ラーニングによるAIモジュールによって心拍とR波を検出・統合するR-Trigger技術を装備しています。この技術は、自動計測機能であるAuto Measureや自動ストレイン解析のAutoStrain LV、駆出率計算の2D Auto EFと連携し、ECGデータがない状況でも計測・解析を可能にします。このような機能の追加によって、より効率的で信頼性の高い診断が実現されています。
3. 3D Marker機能
近年、SHD(Structural Heart Disease)領域において心エコー図の役割が重要視されています。このTranscend Plusシリーズには、MPR断面にマーカーを配置する3D Marker機能が搭載されており、迅速な判断が求められる医療現場において複雑な解剖の理解を助けます。
フィリップス・ジャパンの取り組み
株式会社フィリップス・ジャパンは、ヘルスケアテクノロジーのリーディングカンパニーとして、1953年から日本市場で活動してきました。主に画像診断、超音波診断、生体情報モニタリングなどを手がけており、超高齢化社会における医療問題の解決に寄与しています。日本の約70の拠点で活動し、約2,000名の従業員を擁する同社は、より良い健康と生活の向上を目指して技術革新に取り組んでいます。
まとめ
フィリップスのTranscend Plusシリーズは、心血管疾患に対する迅速かつ正確な診断の提供を目指し、AI技術を駆使していることが大きな特長です。この新しい装置の登場により、医療現場の問題解決に寄与することが期待されており、その進化に注目が集まることでしょう。心血管疾患に立ち向かう真剣な取り組みは、今後の医療業界全体に良い影響を与えること間違いありません。