企業の学び直し：従業員の成長を促進する施策とは

近年、企業の人材開発において「学び直し」や「リスキリング」が重要なテーマとなっています。急速な技術革新や労働市場の変化により、従来のスキルが業務に役立たなくなる事例が増えているため、従業員は新しいスキルを身につける必要があります。株式会社企業活力研究所が実施した2022〜2023年度の研究調査は、企業における従業員の学び直しに関する重要な洞察を提供しています。

調査の背景と目的

調査は、大企業（従業員300名以上）を対象に、従業員がどのように「学び直し」に取り組んでいるのかを明らかにすることを目指しました。特に長時間学習を行う「学習者」に着目し、彼らの学習内容や周囲環境を調査しました。

一次調査の結果

一次調査によると、全体の平均学習時間は週3.6時間ですが、回答者の中には長時間学習に励む人も一定数存在しています。学習時間の分布を見たところ、週1時間以下の従業員が4割を占めており、全体として学習時間が十分でない状況が浮き彫りになりました。しかし、週5時間や10時間学ぶ層も確認され、学習に力を入れる人も少なからず存在します。

特に興味深いのは、学習時間が長い従業員の中には、自律的学習の割合が高い者が多い点です。彼らは義務的な学習に加え、自己啓発のための学習に時間を投じています。

二次調査の実施

次に、2025年度には二次調査が実施され、月に6時間以上の学習を行う「学習者」に焦点を当てました。この調査では、学習時間や内容、周囲の環境、企業の支援策などを詳細に分析しました。

調査結果からは、特に学習環境が重要であることが示されました。多くの従業員が周囲に学び合う環境があることで、学習時間が増加する傾向が見られ、上司が学んでいたり、仲間と共に学ぶことで、モチベーションが高まっています。