調査の背景と目的
2023年3月に株式会社NTT HumanEXが実施した「eラーニングと人的資本価値向上」に関する企業の意識調査は、日本における大手企業の人事・総務部門の人々を対象に行われました。この調査は、特に人的資本への注目が高まる中で、企業が持つ人材育成やエンゲージメントの現状を明らかにすることを目的としています。実施から数年が経つ中、どれだけの企業がeラーニングを効果的にシステムに取り入れているのか、またその効果的な運用のために抱えている課題について、リアルな声が集まりました。
調査結果の概要
調査に基づく結果は、さまざまな面から企業の人材育成状況を浮き彫りにしました。まず、人的資本に関する情報開示について、約半数の企業が「一部開示している」と回答し、「全く開示していない」との回答も約2割存在しました。この結果からは、人材育成に対する認識の高まりや、企業の積極的な取り組みがまだ発展途上にあることがうかがえます。特に、「人材育成」が最も重視されている項目であり、企業の将来的な成長にとっても極めて重要な要素であることがわかります。
一方、eラーニングの年間予算についてのデータも注目を集めました。約2割の企業が「1000万円以上」を計上していることから、多くの企業が人材育成に対し一定の投資を行っていることが示されました。これは、教育や従業員エンゲージメントの増進に関心が高まっていることを反映しています。
eラーニングの導入状況とその課題
調査では、eラーニングを活用している企業における研修内容として「コンプライアンス」や「情報セキュリティ」が最も多く実施されていることがわかりました。こうしたテーマは企業が共通に抱えるリスクに対処するための重要なコンテンツであり、今後も質の高い研修が求められ続けることが予測されます。一方、「DX人材育成」や「リーダーシップ開発」といった中長期的な戦略に関連する研修の導入にはバラつきがあるため、企業はこれらの分野における取り組みも強化する必要があると考えられます。
しかし、全ての課題が一様に解決されているわけではありません。調査の結果、eラーニングにおける主な課題として「学習者のモチベーションの維持」が挙げられ、参加者の積極的なかかわりが成果に結びつかない現状が浮かび上がりました。65%近くの人々がこの問題に直面していることを示し、教育効果の測定が難しいことや研修コストが高いといった声も多く寄せられました。
企業の今後の戦略
この調査を踏まえて、NTT HumanEXは今後も人的資本経営や人材育成に関する支援を提供していく方針です。企業が持続的な成長を遂げるためには、人材育成に向けた取り組みに関する情報開示や、実効性のあるeラーニングの導入といった次のステップが必要とされているため、調査結果を基にした適切な施策の検討が不可欠です。
まとめ
調査結果は、企業の人材育成に対する意識の変化と、eラーニングの必要性、そしてその成果を得るための課題を明確にするものとなりました。人的資本の価値を向上させるために、企業は持続的な教育投資を行い、特にその効率的な運用と効果検証に注力していく必要があります。この調査を通じて、企業は今後の戦略におけるヒントを得ることができるでしょう。詳細な調査レポートも提供しているため、今後の人材育成の参考としてぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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