シニアの歯の健康意識とメンテナンス事情
人生100年時代が叫ばれる中、特にシニア世代の口腔健康は重要なテーマとなっています。コスモラボが実施した調査によると、シニア層の歯や歯茎の健康状態に関する意識は二極化していることが浮き彫りになりました。
調査の背景
国立長寿医療研究センターが発表した研究によると、口腔の健康は「噛む力」や「食事の楽しみ」だけでなく、脳の健康にも影響を及ぼすことが科学的に示されています。このような背景から、シニア世代における歯のメンテナンスが人生後半の大きなテーマとして注目を集めています。
今回の調査では、50歳以上のシニアを対象に、歯の健康感や定期的な健診の頻度、日常のケア習慣について深掘りした内容を報告します。
調査結果の概要
健康状態の実感
調査の結果、シニアの約6割が「まあまあ健康」(48.6%)や「とても健康」(10.8%)と感じていますが、「あまり健康ではない」(27.2%)や「問題が多い」(13.3%)と回答した層も多く、健康感は大きく分かれています。この背景には、定期健診や補助的ケアの習慣、個々の健康状態が影響していると考えられます。特に、自己評価が高い層でも加齢による機能低下を意識し、適切なケアを怠らないよう注意が必要です。
歯周病の認識
歯周病に関する認識も重要なポイントです。調査によると、40.3%のシニアが「過去に歯周病と診断された経験がある」と回答しており、自覚症状が乏しいため、潜在層を含めたリスクが広がっています。この病気は進行度や症状の軽微さから、未治療を放置する傾向があるため、定期的な受診を促す啓発が求められます。
定期健診の受診頻度
定期的な歯科医院での健診やクリーニングの頻度についてみると、「3か月に1回程度」(41.5%)の高頻度で受診する層も存在する一方、26.3%は「ほとんど行っていない」と回答しています。この二極化は、予防意識や通院の容易さに依存しており、費用面や痛みへの不安が受診をためらう要因となっている可能性があります。
日常のケア習慣
日常の歯のケアに関しては、「毎日の歯みがき」が88.8%と高い割合で実施されていますが、デンタルフロスや歯間ブラシの使用は47.3%、洗口液(マウスウォッシュ)は28.8%と、十分な普及がなされていないことが見受けられます。シニア世代においても、健全な口腔環境を維持するためには基本的なケアに加えて、補助的な手段の導入が求められています。
咀嚼力の維持
硬い食品を食べることに関して、「全く感じない」と回答した層が51.0%いましたが、「やや感じる」(38.6%)や「かなり感じる」(9.3%)とも回答しており、加齢に伴う咀嚼機能の低下が視野に入ります。自信のある層と不安を抱えている層の差が大きく、咀嚼力を維持するための意識的な取組が必要です。
食品選びの意識
最後に、意識して摂っている食品についてですが、野菜や魚、肉類を意識的に摂ると回答した人が多い一方、「特に意識していない」との回答も見られ、食生活における理解度や実践度に二極化があることがわかりました。特に、咀嚼力をサポートする食品選びについて、啓発が求められます。
結論
この調査を通じて浮き彫りにされたのは、シニア層の口腔健康における「二極化」と「ケア習慣の偏り」です。今後は、個々のニーズに応じた支援や啓発に力を入れ、健康な口腔環境を維持するための取り組みを強化することが求められます。
さまざまなテーマに関するシニア調査結果をコスモラボで公開しています。健康や生活の質向上に向けた取り組みにぜひご注目ください。