ADIが環境配慮型リサイクル技術を採用
株式会社アーキテクト・ディベロッパー(ADI、東京都中央区銀座)は、2025年に着工予定の千葉県・神奈川県に新築賃貸集合住宅で、廃石膏ボード由来のリサイクル石膏を100%使用した「チヨダサーキュラーせっこうボード」を初めて採用することを発表しました。このボードは、製造工程で再生可能エネルギーを100%活用し、実質的にカーボンニュートラルを達成しているのが特徴です。
環境問題への取り組み
国内では、石膏ボードが主要な内装建材として年間約400万トン出荷されており、その使用量の増加に伴い、廃石膏ボードの発生量も増加することが予想されています。国立環境研究所のデータによると、今後十数年以内に廃石膏ボードの排出量が生産量と同程度まで達する見込みで、これが最終処分場の逼迫や温室効果ガス増加の原因となる恐れがあります。
現在、石膏ボードの原料に占める回収石膏の使用率は約10%にとどまっており、解体工事由来の廃棄物は再資源化率がわずか6%という現状です。このような問題を解決するために、ADIは廃石膏ボードを100%使用した「チヨダサーキュラーせっこうボード」に注目しました。
チヨダサーキュラーせっこうボードの特長
新たに導入されるチヨダサーキュラーせっこうボードは、防火性や遮音性、施工性を従来品と同等に保ちながら、環境負荷を軽減することが可能です。その上、SuMPO EPDやエコマークなどの環境認証も取得しており、LEEDやCASBEE評価にも適応しています。これにより、建物の環境性能を大幅に向上させることが期待されています。
さらに増加する収蔵ニーズに応えるため、ADIは施工にあたり1棟あたり557.79㎡、おおよそ2,822枚のチヨダサーキュラーせっこうボードを使用することで、施工フェーズで約8.8トンのCO₂削減を見込んでいます。
循環型社会への一歩
ADIは、自社物件にこのボードを導入することで、内装建材によるライフサイクルCO₂排出量を従来比で約3分の1に削減できると予想しています。さらに、解体時には使用済みの廃石膏ボードをグループ会社が回収し、再生することで循環型社会の実現を目指しています。
今後の展開
2025年から2026年にかけて着工される賃貸集合住宅ブランド「LiVLi」では、このチヨダサーキュラーせっこうボードを標準設計として採用する予定です。初年度の実施を通じて施工・調達の最適化を図り、環境に配慮した建材の採用をさらに他エリアにも拡大していく考えです。
ADIの企業理念は「美しい暮らし方を住まいから」ですが、環境問題への取り組みを通じて、より豊かで持続可能な未来を目指しています。ADIは、業界全体に貢献する新たな資源循環モデルの確立を図り、未来の住まいづくりに挑戦し続けます。