2025年度新入社員意識調査、若手の新たなキャリア観と職場の満足度について
近年、卸売業や小売業において、新入社員のキャリア意識や働き方の希望がどのように変化しているのか、2025年度の新入社員を対象にした調査が行われました。ALL DIFFERENT株式会社の発表によれば、キャリア志向を持たない新入社員が初めて管理職志向を上回る結果となり、さらに「今の会社で働き続けたい」と考える新入社員の割合が過去最高を記録しました。本記事では、調査結果から見えてきた現代の新入社員の意識について詳しく探っていきます。
調査の背景と目的
近年の卸売業・小売業では人手不足や市場の変化に直面しており、特に新入社員の早期離職率が高くなっています。そのため、企業は新入社員の育成や定着を重視し、彼らの考え方や価値観を理解することが求められています。本調査は、新入社員がどのような働き方を望んでいるのかを把握し、育成や支援の在り方を考えるために実施されました。
調査結果の概要
1. キャリア志向と管理職志向の変化
2025年度新入社員に対する質問で、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」という回答が28.2%で最も高い割合を占めました。これは、7年間にわたる調査の中でも初めて管理職志向を抜いた結果となりました。若手社員はリーダーになることよりも、日々の仕事を楽しむことを重視しているようです。
2. 勤続意向が過去最高
新入社員の72.5%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答しました。他業種より高いこの割合は、企業にとっても喜ばしい結果と言えます。しかしながら、キャリア志向の低下は、将来のリーダーが不足するリスクとも捉えられるため、注意が必要です。
3. 職場環境に対する重視点
新入社員が今の会社で働き続けたいと思う条件として、「職場の人間関係が良い」との回答が69.5%で、最も多い結果に。次に「高い給与・賞与をもらえる」という条件も約64.9%と高い割合でした。このことから、新人が求める職場環境は人間関係の良好さが重要視されていることがわかります。
4. 労働時間に関する意識
今後3年間の労働時間については、50%の新入社員が「定時に帰りたい」と考えていることが明らかになりました。また、業務上の残業は週に2〜3回までなら許容されるという意見が39.3%で続いており、新入社員のワークライフバランスの意識が高いことを示しています。
5. 時間の使い方と優先順位
20代の新入社員においては「仕事とプライベート優先」が30.2%で最多。その次に「プライベート優先」が24.4%を占め、これらの回答が他業種に比べて高い傾向が見られます。この傾向は、今後の新しい働き方を象徴するものと言えるでしょう。
6. リーダーに求められる姿
卸売業・小売業の新入社員が考えるリーダーのイメージとしては、「リーダーシップが求められそう」が55%で、次いで「強い意志が求められそう」が36.6%と多くなっています。このことから、リーダーシップや意思決定力が求められる職場環境への期待感が伺えます。
まとめと今後の課題
調査の結果、2025年度の新入社員は「楽しさ」を求める傾向が強く、特にキャリア志向が低下していることがまさに時代の流れを反映しています。企業は、この若手のニーズに応え、彼らが安心して成長できる環境作りを進めていく必要があります。若手の意欲的な成長は、企業の未来そのものを左右する重要な要素になると言えるでしょう。今後、卸売業や小売業ではリーダー人材をどのように育成していくのかが大きな課題となりそうです。