埼玉県庁が全庁導入したkintoneによるデジタル改革の成果と今後の展望
埼玉県庁は、ノーコードツールであるkintoneの全庁導入を進め、2024年6月から綜合キャリアオプションによる運用支援を受けて、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しています。その成果として、年間約4,500時間の業務時間を短縮し、効率化を実現しました。本記事では、埼玉県庁の取り組みに加え、運用支援に関わる綜合キャリアオプションの役割についても深掘りしていきます。
埼玉県庁のDXへの取り組み
埼玉県では、人口減少や少子高齢化が進行する中、生産性を向上させるためにDXを重要な施策として位置付けています。特に、自治体の業務において必要とされるシステムやアプリが多岐に渡ることから、既存のパッケージシステムでは対応が難しいという課題があります。
kintone導入の理由
埼玉県企画財政部の砂川里帆さんは、次のように述べています。「自治体の業務は多様で、必要なシステムやアプリも小規模であるため、既存の製品では対応できないことが多い。しかし、スクラッチ開発には膨大な予算と時間を要するため、迅速に対応できる手段が必要でした。」そこで、kintoneに着目し、全職員にアカウントを付与する方針が決定されました。
kintoneの最大の特徴は、高機能でありながら簡単に操作ができることです。これにより、各業務の担当職員が自ら必要なアプリを作成できる環境が構築されました。また、セキュリティ面での安心感もあり、行政業務に適したシステムとして選定されました。
ノーコードツール運用支援の重要性
埼玉県庁がkintoneを全庁導入するにあたり、綜合キャリアオプションが選ばれたのは、BPO事業による業務プロセス改善の知見とノウハウが豊富であったからです。砂川さんは、「1万人以上の職員に対し、我々だけでは教育や問い合わせ対応が不十分であることを踏まえ、専門的な知見を持つ企業の支援が不可欠でした」と説明します。
綜合キャリアオプションの支援内容
現在、綜合キャリアオプションはノーコードツールの運用支援業務を行っており、基礎研修や定期フォロー、問い合わせ対応などを提供しています。特に、kintone上に質問アプリを設置し、リアルタイムで問題を解決できる仕組みが高く評価されています。
また、同社は自社のBPOシステム『BENSYS』を多数の自治体に導入してきた実績があり、47都道府県の7割以上で利用されています。このことが、選定理由の一つにもなりました。
具体的な成果と課題
埼玉県庁では、kintone導入による業務の効率化が進み、特に「照会回答業務」が大幅に効率化されたと砂川さんが述べています。これまで年間約1,650件の報道発表管理を行う際、情報のやり取りに膨大な時間がかかっていましたが、ノーコードツールの導入により、連絡の手続きがシンプル化され、約4,500時間の作業時間が短縮されました。
ただし、依然としてさまざまな業務が残っており、綜合キャリアオプションの支援が今後の改革をさらに促進することが期待されています。
未来への展望
埼玉県は、引き続き業務の全体最適化を進め、ノーコードツールを活用して全庁横断的なデータベースの構築を目指しています。生産性向上によって生み出された時間は、より良い業務の質向上や県民サービスの向上につながると考えられています。
綜合キャリアオプションは、こうした大規模プロジェクトから得た知見を他の自治体へ展開し、さらなるDX推進に貢献することが期待されています。埼玉県庁と綜合キャリアオプションの取り組みは、他の自治体にとっても貴重なモデルケースとなり得るでしょう。
取材協力
埼玉県企画財政部行政・デジタル改革課 DX推進担当 砂川里帆さんに取材協力をいただきました。