Jパワーと日立によるAI用データセンターの構築
電源開発株式会社、通称Jパワーと株式会社日立製作所は、社会基盤の一環としてAI用データセンター(AI-DC)の構築に向けての共同検討を開始する契約、覚書(MOU)を締結しました。このプロジェクトは、少子高齢化や労働人口の減少といった社会的課題の解決に向けた新たな技術、生成AIの活用に大きく寄与すると期待されています。
なぜAI-DCが必要なのか?
現代の社会インフラにおいては、機密性の高い大量のデータを扱うことが求められています。特に、電力、ガス、上下水道、鉄道などの事業者は、セキュリティが強化されたAI-DCの導入によって、信頼性の高い運用を実現する必要があります。このニーズに応える形で、Jパワーはカーボンニュートラルな電力源を、日立はその運営ノウハウを提供し、共にこのプロジェクトを推進することになりました。
具体的な取り組み内容
今後、両社はMOUに基づいて、社会インフラにおけるAI活用場面やAIの学習・推論プロセスを考慮したAI-DCの要件定義を検討する予定です。具体的な例としては、エネルギー消費の多いAI-DCを持続可能に運営するために、地方分散とカーボンニュートラル電源の活用を模索しています。また、AI技術を用いた発電所の運転支援や運用の最適化も進められます。
これに関連して、データセンターの分散化を進める政策「ワット・ビット連携」に貢献するものであり、グリーンとデジタルの両方の変革を同時に進め、地域社会への貢献を実現していく展望です。
両社の役割分担
Jパワーは、カーボンニュートラルな電源(水力、風力、地熱、太陽光など)の提供と、技術検証に必要なデータを提供します。一方日立は、AI-DC向けのサーバーやストレージといったIT設備を供給し、AI・デジタル技術に基づく支援を行います。この連携により、AIを用いたデータセンターの構築が加速されることでしょう。
未来への展望
今後の検討事項として、分散型AI-DCの実現によるエネルギー効率の最適化が挙げられています。これには、学習環境と推論環境を分散設置することが含まれ、再生可能エネルギーを利用してカーボンニュートラルな運営を目指しています。さらに、データ伝送の技術も見直され、効率的かつ環境にやさしい運営が可能となるでしょう。
また、重要社会インフラを支えるためには、非常に高い信頼性と安全性が求められます。そのため、プライベートクラウドを利用して、厳密なセキュリティ基準を満たしたAI-DC環境の構築が進められます。これにより、多様な事業者が安心して利用できるデジタル基盤が整備される見通しです。
会社の背景
Jパワーについて
Jパワーは1952年の創立以来、人々のエネルギー需要に応えつつ、持続可能な発展に貢献してきた電力供給企業です。発電事業においては、様々な再生可能エネルギー技術の導入を進めており、2050年までにカーボンニュートラルを目指す「J-POWER BLUE MISSION 2050」を掲げています。
日立製作所について
日立はITやOTの技術を生かし、環境と経済成長が共存する社会の実現を目指しています。デジタルイノベーションを通じて、新たな価値を創出し、社会の課題解決に貢献することを使命としています。未来に向けた新たな技術と知識で、このプロジェクトの成功に向けた第一歩を刻んでいます。