防火ガラスの革新
2024-12-19 10:56:30

日本電気硝子の防火ガラス研究が国際学会で最優秀賞受賞

日本電気硝子の防火ガラス研究が国際的に評価



日本電気硝子株式会社が開発した防火ガラス「ファイアライト®」を使用した研究が、国際的な学会で目覚ましい成果を収めました。東京理科大学大学院の張爍(Zhang Shuo)氏が発表した論文は、「第13回アジア・オセアニア火災科学技術シンポジウム」において、最優秀口頭発表賞(Best Oral Presentation Award)を受賞したのです。この栄誉ある賞は、多くの高い評価を受けた論文の中から選ばれるものであり、その意義は大きいものです。

研究の背景と目的


現在の建築基準法や消防法では、火災時の防火性が厳格に求められていますが、熱を遮断する「遮熱性」については十分な基準が設けられていません。特に、避難経路に接する防火設備の遮熱性が不十分であると、万が一の火災時に避難が困難になる可能性が指摘されています。これを受けて、張氏らは防火ガラス「ファイアライト®」の水膜が持つ遮熱効果を解明することを目指しました。

研究内容と実験方法


研究では、防火ガラスの表面に水膜を形成し、その遮熱性能を評価しました。実験は火災を想定した設定のもとで行われ、特殊な散水装置を使用して均一な水膜を生成。この水膜が熱に与える影響や、温度上昇を抑制する仕組みについて詳細に検証されました。特に、水膜の流速や供給量が遮熱効果にどのように寄与するかをモデル化し、この知見が防火技術に新たな指針を提供することが期待されます。

「ファイアライト®」の特性


ファイアライト®は、高温環境下でも安定した性能を発揮する特殊なガラスです。急激な温度変化にも耐え、通常のガラスが割れるリスクを軽減する特性を備えています。そのため、研究の条件においても信頼性の高い素材として選ばれました。この特性により、火災時の高温下でも水膜の効果を的確に評価することができます。

研究の成果


研究を通じて、以下の重要な知見が得られました。
1. 水膜の流速と厚み: 水の供給量が増加することで、水膜の流速が向上し、厚みも増すことが実証されました。
2. 供給水量と遮熱効果: 供給水量が10〜20LPMの条件では遮熱効果が不十分でしたが、40LPM以上になるとガラスの温度上昇が大幅に抑制され、避難路の安全性を確保できることが確認されました。
3. 防火ガラスの設計への応用:水膜の遮熱効果をもとに新たな防火ガラス設計基準の可能性が示されました。

今後の展望


この研究成果は、火災時における安全性の向上に寄与するものであり、今後の防火技術の進展に繋がると期待されています。日本電気硝子は、特殊ガラスのリーディングカンパニーとして、さらなる技術革新を目指しており、本研究もその一環として位置づけられています。

会社概要: 日本電気硝子


日本電気硝子株式会社は、滋賀県大津市に本社を構える特殊ガラスのトップ企業です。1949年に創立以来、特殊ガラス製品の製造・販売を行い、幅広い分野で高い評価を受けています。最新技術による製品開発が、半導体や医療、電子機器など多岐にわたり、私たちの生活を支えています。

公式サイト: 日本電気硝子株式会社


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