下司悠太個展「Whatʼs Entertainment?」が開催
2025年10月14日から11月9日まで、新宿・歌舞伎町のアートスペース「デカメロン」にて、アーティスト下司悠太(げし・ゆうた)の個展「Whatʼs Entertainment?」が行われます。下司は、自身が仕込んだ味噌を利用して味噌汁を作ることや、普段着を自ら手がける姿勢を通じて、アート、執筆、音楽といった多様な手法で自らの生活哲学を表現しています。「公開生活」と名付けられたこのプロジェクトでは、彼の日常的な実践が来場者に刺激を与えることが期待されています。
公開生活のコンセプト
下司は、「公開制作」にインスパイアを受け、「公開生活」という新しい概念を提唱しています。本展では、生活を支える営みを見える化し、人々に問いかけを行います。名物となる実際の味噌仕込みを体験するイベントもあるため、参加者は自身で歌舞伎町仕込みの味噌を作ることができます。
アートと日常的活動の境界を曖昧にすることで、日常生活の中に潜む美と豊かさを再発見させようという試みです。特に混沌とした都市環境での営みから、新たな人間関係や思考が芽生えることを目指しています。
生活への抵抗と姿勢
「美味しい味噌汁を作り続ける」という日々の営みを通じて、下司は生活の主導権を取り戻すべく奮闘しています。彼のアプローチは「丁寧な暮らし」とは異なり、生活に対する抵抗の姿勢を持っています。「革命が起こせなくても、味噌汁を作ることで自分の立場を示していく」と語る彼にとって、その行為が“抵抗”の象徴となっているのです。
美学のコンセプト
下司の表現には「他人が真似しやすいクオリティ」といった美学もあります。この考えは単なる“低クオリティ”のそれではなく、多くの人が真似したくなるような魅力を持ち、持続可能であることが求められます。味噌汁、音楽、美術作品、ワークショップそれぞれにこの美学が共通しており、横断的に展開されること自体も他者を引き込む力を持っています。
彼はケア労働の美しさを理解し、それにかつて存在していた過小評価の歴史を踏まえています。アーティストや作家、歌手といった目立つ存在を引き寄せることで、日常生活の中にある本質を浮かび上がらせようとしているのでしょう。
展覧会の見どころ
本展では、下司が自ら手掛けた「みそ仕込み」イベントも行われます。参加者はDJの音楽に包まれながら500gの味噌を作り、それを持ち帰ることができます。この体験は、アート作品としての味噌が育つ様子を楽しむことができ、アートに参加することを促す内容です。
開催日前日の10月13日には、アーティスト杉野晋平との共作「台所に捧げる」も披露され、味噌汁を作るパフォーマンスとともに、一体感を感じる特別な時間が提供されます。
アートスペース「デカメロン」
開催場所である「デカメロン」は、新宿・歌舞伎町の中心に位置し、アートと生活のコミュニケーションスペースとして多くのアートイベントを行っています。展覧会は20時から27時まで開かれ、どなたでも訪れやすい環境が整っています。
是非、下司悠太の公開生活を体感し、日常から紐解かれるアートの世界を感じてみてください。日々の生活にアートを取り入れることができる新たな視点を提供してくれる展覧会となること間違いなしです。