守山製造所のビオトープ「もりビオ」認定の背景
旭化成株式会社が運営する守山製造所にあるビオトープ「もりビオ」が、環境省から自然共生サイトとして認定されました。この認定は、国際的な生物多様性保全に向けた取り組みの一環として、2021年に設置された「もりビオ」が評価された結果です。
ビオトープ「もりビオ」とは
「もりビオ」は、滋賀県守山市の当社製造所に設けられ、グループビジョンである「環境との共生の実現」を目指しています。製造所周辺では事業活動に必要な工業用水を自社の井戸から取得しており、排水管理が地域の生態系を守るために重要な役割を果たしています。かつて、この区域には地域の水源として機能していた溜め池があり、地域社会と自然の結びつきが深い歴史があります。
取り組みの内容
このビオトープでは、滋賀県立琵琶湖博物館や近隣自治会と連携し、淡水魚のハリヨや地域特有のトンボの保護活動を行っています。具体的には、ハリヨの生息に適した温度(20℃以下)を保つための湧水環境や、トンボの生態に配慮した湿地および緑地の造成に取り組んでいます。このような努力が評価され、滋賀県によるハリヨの保護・増殖事業の認定も受けています。
今後の展望
今後も「もりビオ」は地域の生物多様性保全に積極的に貢献していく考えです。これによって、自然と人間が共生する社会を実現し、持続可能な環境作りを進めていきます。
生物多様性保全への国際的目標「30by30」
今回の認定は、国際的な生物多様性保全目標である「30by30」にも貢献しています。この目標は、2030年までに陸と海の30%を保全することで、自然環境の損失を食い止め、人とのつながりを促進するとともに、地域の経済や社会、環境問題を同時に解決することを目的としています。このための基盤となるのが、健全な生態系を確保するための統合的なアプローチです。
自然共生サイトとしての意義
環境省が2023年より開始した「自然共生サイト」の認定制度では、民間の努力によって生物多様性が保全されている区域を環境大臣が認定します。旭化成グループとしては、すでに富士支社内の「あさひ・いのちの森」が2023年に認定を受けています。
「もりビオ」の認定は、製造業と環境保全が両立できることを示す良い事例として、今後の企業活動にも良い影響を与えることでしょう。地域と共に成長していく企業の姿勢が、他の企業や地域社会にも広がることを期待したいと思います。