ITフリーランスの契約・報酬実態に関する調査
フリーランス新法の施行から1年が経ち、ITフリーランスの契約及び報酬に関する調査が行われました。この調査は、ITフリーランスとして働く302名を対象に、現在の契約状況や報酬の透明性について明らかにすることを目的としています。
調査の背景
株式会社PE-BANKは、フリーランスエンジニアとしての新たな働き方を模索するため、契約や報酬に関する実態を把握する必要がありました。その結果、約9割のITフリーランスが契約・報酬に関するトラブルを経験していることが判明しました。トラブルの種類には、追加修正に対する無償対応や、口頭依頼により生じる認識の齟齬が含まれています。特に、契約内容が明示されない「見えない契約」が蔓延している状況が浮き彫りになりました。
調査結果のポイント
1.
契約・報酬トラブルの実態
過去1年間にトラブルを経験したフリーランスは85.8%。具体的なトラブル例としては、無償での対応や口頭での依頼に起因する問題が多く見られます。契約が書面で明示されないことが大きな原因となっており、仕事の内容や支払い条件が不透明なまま業務を進めざるを得ない状況が問題視されています。
2.
契約内容の明示割合
約6割のITフリーランスが受注した案件の契約内容が3割以下しか明示されていないと回答。契約の透明性は不十分であり、意思疎通の欠如から生じるトラブルが後を絶ちません。
3.
口頭説明の影響
契約内容が口頭説明のみで進められたケースが43.9%に達し、依然として契約書を交わさない慣習が続いていることが明らかになりました。これは、業務の実務と契約書の整合性が取れない現状を示しています。
4.
新法への理解不足
フリーランス新法の内容を理解していると答えた人は約半数。法律の施行後も、現場での実践においては変化が見られず、多くの人が「現場は変わっていない」と感じているのが現実です。
5.
報酬への不満の現状
フリーランスが報酬に対して抱える不満は、「妥当性」「評価基準の透明性」に集中しています。金額自体よりも、なぜその金額が提示されているのかを理解できないことが、トラブルの要因とされています。
6.
求められる契約の透明性
フリーランスが安心して働けるためには、契約内容や報酬の透明性が欠かせません。特に、業務内容や支払い条件について明文化されることが必要不可欠であると多くのフリーランスが感じています。
まとめ
調査結果は、ITフリーランスの契約と報酬に関する実態が依然厳しいことを示しています。新法施行から1年経過した今も、契約内容の透明性が確保されず、報酬に不満を抱く現状を受けて、フリーランスが求める環境の整備が急務とされます。安心して働けるためには、法制度の整備とともに、実務レベルでの理解と契約の透明性を高める努力が必要です。