液化CO2・メタノール船
2025-06-30 14:17:11

世界初の液化CO2・メタノール兼用輸送船、基本設計承認を取得

世界初の液化CO2・メタノール兼用輸送船の新たな一歩



株式会社商船三井と三菱重工グループの三菱造船は、共同で開発を進めている液化CO2・メタノール兼用輸送船について、一般財団法人日本海事協会(NK)から基本設計承認(AiP)を取得しました。この船は世界で初めての例となり、海運業界における重要な進展を示しています。

液化CO2・メタノールの重要性



近年、環境問題が重要視される中で、CO2を捕集、利用、貯蔵するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)技術は注目を集めています。その一環として、回収したCO2を原料に合成メタノールを製造するプロジェクトが進行中です。合成メタノールは、船舶燃料としての潜在能力が高く、海運業界の脱炭素化に寄与することが期待されています。

本船の特徴と利点



今回のAiPを取得した液化CO2・メタノール兼用輸送船は、低圧の液化CO2(LCO2)輸送船を基盤にしています。この船は片道でCO2を輸送し、帰りは合成メタノールの輸送を行う仕様です。通常、専用船を使用すると片道の航路は空荷で運航されることになりますが、兼用化の実現によりその問題が解消され、全体の輸送効率が向上することが期待されています。

商船三井と三菱造船は、このプロジェクトを通じて得られた知見や課題を踏まえ、関連企業との協力も進めながら本船の製品化を目指しています。

サプライチェーンの構築



商船三井グループは、合成燃料や合成メタノールのサプライチェーンを構築するため、2024年9月には北米・南米・豪州でのプロジェクトに出資を予定しています。この取り組みは、全体の経済性を高め、環境ビジョン2.2に掲げる「2050年までのネットゼロ・エミッション達成」への貢献を推進するものです。

具体的な取り組み



商船三井は、原料となるCO2の輸送と合成メタノールの開発と供給を加速し、低炭素社会の実現に向けた活動を進めていきます。そのために、サプライチェーンにおける効率性を追求し、関係企業との協力を強化していく方針です。

三菱重工グループもエナジートランジション事業を強化しており、特に海事エンジニアリング技術を活用して国内外の海事産業の発展に寄与することを目指しています。三菱造船は今後もグローバルなパートナーシップを築き、CCUS関連のバリューチェーン構築を推進していくつもりです。

まとめ



液化CO2・メタノール兼用輸送船の基本設計承認は、海運業界における革新的な進展を示すものといえます。商船三井と三菱造船が協力して進めるこのプロジェクトは、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となることでしょう。未来の海運業界がどう変化するのか、ますます期待が高まります。


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