LGBTQ当事者の物件探しにおける課題と工夫を探る
最近、LGBTQ当事者が物件を探す際の困難な状況や工夫についての調査が行われました。株式会社MEMOCOとゼロリノベが共同で実施したこの調査は、125名のLGBTQ当事者に対して行われ、彼らの物件探しの実態を明らかにしました。今回はその結果をもとに、LGBTQ当事者が直面する物件探しの問題について考えてみたいと思います。
調査の概要
調査期間は2025年3月17日から4月14日までの約1ヶ月間。オンラインでのクラウドソーシングによる調査方法が取られました。対象者は男性46名、女性73名、性別無回答6名の計125名です。年齢層としては、20代が約29%、30代が34%、40代が23%、50代が13%、60代以上が1%と、主に20代から30代が多く回答しています。
物件探しの工夫
回答者の中で、物件探しに「工夫している」と答えたのは約14%で、残りの86%は特に工夫をしていないとのことでした。この14%に具体的な工夫を尋ねたところ、以下のような回答が寄せられました。
LGBTQ当事者を受け入れてくれる不動産会社を探す(30代女性)
自分の状況を包み隠さず話す(30代男性)
知人や理解のある業者を介して探す(40代男性)
友人との同居という形で探す(30代男性)
恋人との同棲を前提に物件を選ぶ(30代女性)
LGBTQのNPO法人とを連携して不動産会社に行く(50代男性)
このように、LGBTQ当事者が工夫を凝らしている一方で、多くの人は特別な対策を取っていないことが示されました。特に、NPO法人に協力を求めることでサポートを受けられるという方法を取る方もいるようです。
LGBTQであることを不動産担当者に話す?
次に、物件探しの際に不動産担当者に自分がLGBTQであることを伝えたかどうかを尋ねたところ、話したと答えたのは15%に留まりました。一方で、72%は話していないとのことで、これは比較的多い結果です。また、話さずに契約しようとしてトラブルに遭った人もいました。
この状況には、LGBTQという立場で不利されるリスクがあるため、物件探しで不安を抱く当事者が多いことも影響していると考えられます。
同棲物件選びでの困難
次に、パートナーとの同棲を希望する物件を探している際に、断られた経験があるかどうかという質問には、19%の人が「ある」と答えました。その理由としては、以下のような具体的なエピソードが寄せられました。
「同性のカップルでは借りられない」と言われた(20代女性)
露骨に断る態度を示された(50代男性)
性別を告げた瞬間、物件契約ができなかった(30代女性)
内覧を断られた(30代男性)
* 同性のカップルに偏見を持つオーナーがいた(30代男性)
このように、同棲を希望する際に明確に反対されることが想像以上に多いことが分かりました。物件選びにおける信頼感を築くのは容易ではない事実が明らかになりました。
まとめ
最後に、LGBTQ当事者の物件探しの実態について見てきました。調査結果からは、物件探しにおいて直面するさまざまな課題が浮き彫りになりましたが、同時に最近はLGBTQに対する理解も深まりつつあることを示しています。特に、パートナーシップ制度を導入する自治体が増えていることや、LGBTQ向けの住宅ローンが提供されていることなども、前向きな変化と言えるでしょう。物件探しの際の不安や困難を少しでも軽減できるよう、これらの経験談が役立つことを願っています。