保険業界の障がい者支援に関する最新調査結果発表

近年、多様性と包摂性が重要視される中、金融業界においても障がい者への配慮が求められています。令和7年3月末時点での調査結果をもとに、保険会社の障がい者支援の取り組み状況について詳しく見ていきます。

調査の概要

金融庁は、生命保険会社や損害保険会社、さらには少額短期保険業者を対象に、障がい者に対する配慮についてのアンケート調査を実施しました。この調査は、各社の現状を把握し、今後の改善に向けた基盤を築くことを目的としています。

主な調査結果

調査には41社の生命保険会社、34社の損害保険会社、121社の少額短期保険業者が参加しました。その中でも特に注目すべきポイントは以下の通りです。

1. 代筆に関する内部規定：自筆が困難な方への代筆に関する内部規定は、生命保険会社と損害保険会社で100%整備されている一方、少額短期保険業者では97.5%となっています。また、同行の親族による代筆に関しても、同様の整備率が見られました。

2. 視覚障がい者への代読：視覚障がい者に関する代読についても、生命保険会社と損害保険会社で100%の整備が確認されましたが、少額短期保険業者では95%という結果に。代読時の個人情報保護に関しても、生命保険会社と損害保険会社では100%が配慮しているものの、少額短期業者では76.9%に留まりました。

3. 聴覚障がい者への対応：聴覚障がい者の方への対応については、生命保険会社で95.1%、損害保険会社で97.1%、少額短期保険業者で95.9%が規定を整備しているとの結果でした。

4. 知的・精神・発達障がい者への対応：こちらの配慮についても、生命保険会社で95.1%、損害保険会社で97.1%、少額短期保険業者で95.9%が一定の対応を行っています。

その他の対応状況

調査では、視覚障がい者向けの点字対応や聴覚障がい者への筆談対応、知的・精神・発達障がい者に向けた支援など、幅広い分野についても取り組みが評価されています。例えば、視覚障がい者向けの点字対応をしている保険会社の割合は、生命保険会社で34.1%、損害保険会社では5.9%となりました。聞くことが難しい方への配慮として、コミュニケーションボードの使用や手話通訳者の活用も進められています。

課題と今後の展望

この調査によって、保険業界の障がい者支援の取り組みが一定の成果を上げていることが確認されましたが、依然として改善の余地があることも分かりました。特に少額短期保険業者での整備率が他と比較して低い点や、代読や代筆時のプライバシー保護に関する規定が未整備の企業も見受けられます。

結論

調査結果は、保険会社が障がい者への配慮に真摯に取り組んでいることを示していますが、さらなる改善が求められます。これらの情報をもとに、各社がより多くの障がい者にとって利用しやすいサービスを提供できるよう、引き続き取り組みを進めていくことが重要です。特に、地域社会における障がい者の視点を取り入れることが成長の鍵となります。