AIVALIXとインディゴ社が共同研究した新技術「KGRAG」の発表
2023年10月、AIVALIX株式会社(東京都世田谷区、代表取締役社長:中山太洋)は、同じく世田谷区に本社を置くインディゴ株式会社(代表取締役社長:大島智樹)との共同研究により生成AIを活用した最新の知識活用プラットフォーム「Knowledge Graph Retrieval Augmented Generation(KGRAG)」に関する論文を発表しました。この発表は、第67回人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会(SIGSWO)にて行われ、その内容が大きな注目を集めています。
論文の概要
今回発表された論文のタイトルは、「KGRAGにおける探索範囲の限定を目的とした、段階的サブグラフ抽出及びマルチホップ質問応答手法の検討」です。本研究は、ナレッジグラフを用いた多段階にわたる質問応答(Multi-hop Question Answering)の際に起こる探索空間の膨大な増加や計算負荷といった課題に対処するためのものです。
この新手法では、型情報(type)、ベクトル類似度、言語モデル評価の3つを組み合わせた段階的な剪定手法を提案しています。具体的には、質問文から推定されるエンティティ型の連鎖(type path)を学習し、これに基づいてサブグラフの探索範囲を絞り込むことができます。さらに、埋め込み類似度と大規模言語モデル(LLM)による再ランキングを組み合わせることで、高い正答率と効率的な探索の両立を達成しています。
実験と成果
本研究の実験では、映画に関連するベンチマークデータセット「MetaQA」を使用し、これまでのRAG手法と比較して大幅に探索効率を改善したことが確認されました。また、LLMの利用を減少させることで計算コストも抑えることができ、複雑な質問に対しても安定した応答が可能であることを証明しています。これにより、AI技術が産業界での実用化に向けた一歩を踏み出しています。
今後の展望
この新技術は、生成AIとナレッジグラフを融合させた知識活用基盤として、さまざまな産業分野における知識継承や意思決定支援、さらには異常要因の推定などへの応用が期待されています。AIVALIXは、この「ナレッジグラフ × 生成AI」を基盤とし、特にインフラ、プラント、製造業における社会実装を進め、企業の成長を加速させることを目指しています。
共同研究のリーダーのコメント
AIVALIXの取締役副社長でありCTOの大島虎太郎氏は、「今回の研究では、ナレッジグラフの構造が言語モデルによってどのように活かされるかに注目しました。AIが考える過程を最適化することができ、今後はこの手法を実務に応じた知識活用へと展開していきます。」とコメントしています。
AIVALIXのミッション
AIVALIX株式会社は、急速な社会インフラの老朽化や人材不足に対し、AI技術と専門知識を活用して課題を解決することを使命としています。「レジリエントなインフラ」を築くため、インフラメンテナンスのプロセスを最適化するAIプラットフォーム『INFRAI』の開発にも取り組んでおり、持続可能で強靭な社会を目指しています。
このように、AIを駆使した新たな技術革新が、今後の産業界における知識活用や意思決定支援に革命をもたらすことを期待しています。
お問い合わせ
AIVALIXでは、KGRAG技術の社会実装を進めるために、企業や自治体、研究機関からのデータ提供を広く募集しています。また、取材や掲載に関心を持つメディア関係者からの連絡も受け付けています。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。