『WIG』創設6周年記念ガストロノミーフォーラムレポート
2025年10月1日、非営利団体「Women In Gastronomy」(WIG)によるガストロノミーフォーラムが東京のエネコで開催されました。これは、食の世界で活躍する女性たちの現状を見つめ、未来の可能性を探る場として、6周年を記念する特別なイベントです。約98名が参加したこのフォーラムでは、スピーチや食文化に関する議論が行われ、女性シェフたちの活躍が強調されました。
ルシア・フレイタスの講演
スペインのミシュラン一つ星を獲得しているルシア・フレイタス氏が講演を行い、食の世界における女性の地位について語りました。彼女は、ガストロノミーがピラミッド型の構造を持っているとし、その頂点には男性シェフが多い一方で、基盤を支えているのは女性であると指摘。特に家庭で子どもを育てながら料理という仕事を続ける女性たちの重要性を強調し、彼女たちの経験や努力こそが現在の食文化を育んできたことを訴えました。
フレイタス氏は、スペインの海女との交流からインスパイアを受け、「Amas da Terra(大地の女性たち)」という活動を立ち上げました。これは、見えないところでガストロノミーを支える女性たちに焦点を当て、彼女たちの伝統や生活を守るための取り組みを強化するものです。彼女は日本においてもWIGとの連携を深めたいとし、国際的な交流を期待していると述べました。
女性シェフ座談会
続いて行われた女性シェフの座談会では、料理の世界で活動する5名のトップシェフが登壇し、経験やビジョンを共有しました。この座談会は、女性ならではの視点でのチーム作りや、業界での課題について意見交換される貴重な機会となりました。
出席者は、音羽明日香(オトワレストラン)、加藤峰子(FARO)、木村藍(五氣里)、桑木野恵子(里山十帖)、山本結以(エスキス)です。各シェフは、自身のキャリアの中で直面した壁や、女性の視点でのチーム作りに関する考えを語り合いました。特に、加藤氏が指摘するように、まだまだ日本の料理界では女性シェフとオーナーシェフの数が少ない現状があり、これにどう対処していくかが重要なテーマとなりました。
例えば、山本氏は、過去に自分が女性料理人であることに違和感を抱いていたことを告白し、今は正当に評価される環境で働けていることが料理を続ける励みになっていると述べています。また、桑木野氏は多様性を尊重し、インターンシップを積極的に受け入れることで、自由な発想を持った人材を集める努力をしていると語りました。
ビュッフェパーティーでの交流
フォーラムの間には、WIGに所属する料理人や生産者によるビュッフェパーティーも開催され、参加者同士の交流の場となりました。ルシア・フレイタスや音羽明日香など、名だたるシェフたちが提供する料理を味わいながら、参加者の皆さんが新たなつながりを持つことができました。
WIGの目指す未来
「食の世界での女性たちの会」WIGは、2019年に設立され、以来、食の分野で活動する女性たちの活躍の場を広げるためのプラットフォームを提供しています。今後も企業や外部機関との連携を通じて、女性たちが持つ才能を活かし、より豊かな食文化を育む取り組みを継続していく予定です。
今フォーラムでの議論を通じて、参加者たちがさらに連携し、食の未来をより良いものにするための一歩を踏み出すことが期待されます。WIGが今後どのような活動を行っていくのか、目が離せません。